2014 Fiscal Year Annual Research Report
系統的な身体イメージの変化を引き起こす感覚入力の分析
Project/Area Number |
24500679
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
乾 信之 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30144009)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 固有感覚 / 身体イメージ / 幻肢 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究ではディスプレイ上と実際の腕の位置の差が大きくなるにつれて,知覚される腕の位置はディスプレイ上の腕に近づいた(固有感覚の視覚への適応)。さらに,ディスプレイ上と実際の腕の位置の差が90 degの時,ディスプレイ上の腕の位置が実際の腕の位置に時間経過に伴ってゆっくりと接近するように知覚された(視覚の固有感覚への適応)。そこで本研究ではディスプレイ上に視覚情報を提示した上に,カフ圧により固有感覚を脱落させると,手首の位置感覚にどのような影響があるかを検討した。 被験者は椅座位の体勢で台の上に前腕を伸ばし,実際の手首は中間位を保持した。視覚情報はヘッドマウントディスプレイによって屈曲した手首が30分間提示された(視覚条件)。ディスプレイ上の視覚情報の上に,右上腕部にカフ圧を30分間かけ,手首の固有感覚を消失させた(視覚+止血条件)。被験者は3分毎に知覚した右手首の位置を左手首で示した。さらに,ディスプレイ上の手首の位置を左手首で示した。5分毎の皮膚感覚の検査も行った。 視覚条件では手首の位置はディスプレイ上の手首の位置に近づくように知覚された。さらに,視覚+止血条件は視覚条件よりディスプレイ上の手首の位置にいっそう近づいて知覚され,固有感覚の視覚への適応がみられた。したがって,歪んだ手首の視覚情報は固有感覚の消失に伴い,いっそう影響力をもたらした。しかし,両条件共に,ディスプレイ上の手首の知覚は優位に変化せず,視覚の固有感覚への適応はみられなかった。 上記の研究は学術雑誌に投稿中であるが,前年に行った2つの実験は1篇がJournal of Motor Behaviorに掲載され,もう1篇は同じ雑誌に受領され,オンライン上で閲覧できる。
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