2012 Fiscal Year Research-status Report
運動指導原点としての動感志向性の解釈に関する現象学的研究
Project/Area Number |
24500690
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
佐藤 徹 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80125369)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | キネステーゼ / 運動発生 / 動感志向性 |
Research Abstract |
運動指導においては、動きを外から見た形の欠点を指摘するだけでは改善は難しい。そこでは学習者の動感(キネステーゼ)にはたらきかけるアドバイスが必要になってくるが、それができるためには他者の動感を運動観察から解釈できる動感理解能力が不可欠である。 本年度は、これらに関して特に子どもの運動習得における動感発生についてシンボルという視点から事例的に考察し、成果をドイツ・ミュンスター大学において開催された第8回日独スポーツ科学シンポジウムにおいて口頭発表した。テーマは、以下の通りである。“Ueber die Bedeutung der kinaesthetischen Intentionalitaetsanalyse bei der Abschaetzung der motorischen Entwicklung von Kindern”。 さらに、日本体育学会(於:東海大学)において「観察対象としての動感発生」というテーマで口頭発表を行った。 これらの研究は、外形的視点では措定できない志向性を、メルロ=ポンティの意味での象徴的(シンボル)行動形態の発生という観点から考察したもので、現象学の方法によってはじめて確認されうるものである。 一般に、運動の発生や動感の発達は、運動達成の測定や外観的把握によって行われるが、本研究によってそれでは把握不可能な内容が研究対象として措定されることとなった。今後はこれらの視点からほかの事例を考察し、体育・スポーツの指導に活用できる成果を求めるつもりであり、その土台が確定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体育・スポーツにおける事例について、計画していた観点から考察し、研究自体は順調に進んでいる。今後は、これらの成果を論文として発表することとなるが、現時点ではまだ完成に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
体育・スポーツの指導理論は、現場の指導実践に研究基盤を求めなければならない。今後の研究においても、すぐれた指導実践を遂行しているが、そのすぐれている内容を理論化できていない指導者の指導行動の中に理論を確定し、他の指導者もその方法を活用できる成果にしていく必要がある。そのために、自らの運動実施、あるいは指導実践が無意識的に(匿名的に)行われている場面を、意識に上らせる方法が求められることになる。この事例を増やすことが課題である。 その実践を研究するために、ドイツなどのすぐれた指導者の実践の視察を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記に記したドイツへの視察旅行計画と、それに際して必要な撮影機器、ならびに分析機器などの購入が必要となる。その他、日本体育学会、日本スポーツ教育学会、日本スポーツ運動学会、伝承研究会等へ出席し、必要な研究知見を得るとともに、関連する研究者との研究交流を図る。
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