2013 Fiscal Year Research-status Report
運動指導原点としての動感志向性の解釈に関する現象学的研究
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24500690
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
佐藤 徹 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80125369)
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Keywords | 動感 / キネステーゼ / 運動発生 / 動感志向性 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度ドイツ・ミュンスター大学で開催された日独学術交流会議において、"Ueber die Bedeutung der kinaesthetischen Intentionalitaetsanalyse bei der Abschaetzung der motorischen Entwicklung von Kindern - eine phaenomenologische Betrachtung ueber die Genese der Kinaesthese als Krise" というテーマで口頭発表した研究成果を論文にまとめ、ドイツのスポーツ教育専門誌 "Sportunterricht" に投稿した。査読修正の上、掲載が決定され、次年度に刊行される予定である。また、この研究内容を土台として、とくに人間のシンボル能力の発生と運動行動の関係を論究した論文に取り組み、日本体育学会刊行の研究誌「体育学研究」に投稿した。「運動発達査定における動感志向分析の意義」と題した本論文は2度の査読修正を経て掲載が決定し、次年度(平成26年)6月に発行される予定である。本研究で明らかにされたことは、とくに子どもの運動発達における動感は、人間固有のシンボル能力との関連を把握した上で扱われないとまったく機械論的、無機的な研究にしかならないことである。この点において、動感志向性の分析が中核である本研究の独自性が確立されることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主題である動感志向性について、体育・スポーツにおける事例を考察し、機械論的(自然科学的)研究では現れてこない人間固有の特性が明らかになったことから研究自体は順調に進んでいるといえる。 研究成果を論文にまとめ、体育・スポーツ研究において最も権威のある「体育学研究」に投稿し、平成26年度の研究誌に掲載が決定されたことは本研究の進捗が順調に進んだことの証である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行った研究において、運動を行う者の動感志向性を探ることなしには、運動の習熟あるいは発達について適切な評価を行うことは不可能であることが明らかとなったことから、今後はその志向性をどのようにして把握するかという問題が課題となる。動感志向性は、測定したり、物として視認するということは不可能であり、志向分析能力を備えた研究者あるいはスポーツ指導者、体育教師などが現象学的視点から解釈するという活動に委ねられる。とりわけ人間固有のシンボル化能力の発達を理解するという活動は、フッサールのいう自然的態度では達成することは不可能であり、超越論的視点から厳密な分析を進めることが不可欠である。 今年度は、特に子どものボールゲームなど、シンボル化能力の発達が顕著に現れる事例を重点的に調査することを目的とした研究を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度(平成24年度)に購入予定であったビデオ分析ソフトウエアが、最新のビデオ機器に未対応であったために購入を先延ばしにしたことによるものである。古い機器に対応したものを購入しても、その使用期間は限られたものになるため、購入を断念した。 これまで購入を見送っていたソフトウエアに相当するものを今年度中に検討し、使用が有効と認められれば購入する予定である。また、もし剰余が生じた場合には、国外での学会発表のための旅費等に充当する予定である。
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