2013 Fiscal Year Research-status Report
自然体験療法における軽度発達障害のある生徒の障害特性と心理的成長の検討
Project/Area Number |
24500691
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 昭裕 筑波大学, 体育系, 教授 (10251076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 仁 筑波大学, 体育系, 助教 (70375476)
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Keywords | 野外教育 / キャンプ / 軽度発達障害 / 冒険教育 / 心理臨床 / 自己概念 |
Research Abstract |
本研究の目的は、軽度発達障害児の特性と自然体験療法における効果の関連を検討し、自然体験療法が軽度発達障害児の心理的成長に及ぼす影響について明らかにすることである。平成25年度は、自然体験療法における1)軽度発達障害児(n=16)の自己概念の変化の特徴を定型発達児との比較から検討し、さらに、2)自閉症スペクトラム(ASD:n=9)と注意欠陥多動性障害(ADHD:n=7)の2つの異なる発達障害児の自己概念の変化の特徴について検討した。定型発達児との比較は、先行研究における定型発達児のデータと比較することで行ったが、発達障害児の自己概念の変化は、飯田ら(1992)における定型発達児の変化と類似した変化パターンを示した。しかし、自己概念の得点の平均値は、発達障害児では、定型発達児に比較してプログラム前後の自信と自己受容(Self-confidence)の得点が低く、他者のまなざし(Perceived-self)の得点が高かった。発達障害児の自己概念は、自尊感情の低さと、他者からの評価の意識が高いことが特徴と言えよう。本研究の自然体験療法においては、このような意識を改善することはできなかった。したがって、このような低い自尊感情や高い自己意識を肯定的に変化させるために、発達障害児が成功体験を繰り返し何度も得られるようなプログラムを計画し検証することが課題として示唆された。また、ASDとADHDの2つの異なる発達障害の比較では違いは認められなかった。したがって今後は、事例研究などの質的な観点からその異同について検証する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は、データ収集や資料収集については、順調に進んでおり概ね計画通りということができる。しかしながら、その成果を論文として公表することにおいては、十分ではなく遅れている。したがって研究全体としてみれば、やや遅れていると評価した。理由としては、質的分析(事例研究)が進んでいないことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究としては3年目をむかえるので、研究成果をまとめることを意識して研究を進める必要があると考えている。研究が遅れていることの理由としてあげた事例研究を精力的に進めると同時に、事例研究の妥当性を高めるためのグループにおける事例の検討やスーパービジョンを行って研究を推進したい。そのためには、人的な支援が必要であるため研究協力者などの確保に研究経費を充当する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
グループにおける事例検討やスパービジョンを行わなかったため、人件費を支出することがなかったため。 次年度は、前年度に行うことができなかったグループにおける事例検討やスパービジョンを計画し、繰り越した経費をその人件費に充当する。
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