2012 Fiscal Year Research-status Report
多様な動きからみる幼児期の運動遊びの検討~小学校低学年体育科とのつながりと相違
Project/Area Number |
24500693
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
吉田 伊津美 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30335955)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 基本的な動き / 幼児 / 低学年 / 運動遊び / 体育 / 幼小連携 |
Research Abstract |
平成24年度は、幼稚園の教育課程に位置づけられる運動遊びにみられる動きの抽出と小学校低学年体育にみられる動きの抽出(目的1、2、3)を行った。対象は東京都公立幼稚園1園とその園が併設している公立小学校1校であった。 まず、園校で実際に行われている基本的な動きを明らかにするため、基本的な動きのリスト(45の動き)を作成した。幼児はクラスの子どもにみられる「頻度」と実施の「割合」をそれぞれ5段階で、児童は体育の授業で行った「頻度」を5段階で評価するものであった。これを対象園校の担任教諭(4歳児5歳児担任各2名、1年担任3名、2年担任2名)を対象に学期毎それぞれ計3回実施した。また、カリキュラムの効果を検証するため、6月に4歳児5歳児および低学年を対象とした体力運動能検査を実施した(幼児はMKS幼児運動能力検査の5種目と長座体前屈の計6種目、児童は新体力テストの5種目と両足連続跳び越しの計6種目)。 幼児の動きの評価では、年間を通してみればほとんどの種類の動きが出現していた。年間を通してよく見られる動きと、時期により出現頻度が異なる動きがみられた。これは出現しやすい動きの有無と保育内容によるものと思われる。また、小学校との比較では、1年生の動きのレパートリーと出現頻度が幼児および2年生よりも極端に少なかった。運動能力検査においても1年生の測定値が幼児期よりも低い値を示していたことから、授業を含めた運動経験内容についての検討を継続して行っている。また、園内研究会での協議と動きの評価を通して、担任保育者が動きのとらえ方の認識を新たに持てたことは本研究の一つの成果といえる。今後は、平成24年度の結果を基に幼稚園の運動遊びの見直しを進め、実践していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画のうち、基本的な動きのチェックリストの作成と実施、運動能力検査、幼稚園における園内研究会については予定通り実施した。今年度の計画はおおむね予定通り進展している。しかし、小学校での校内研究会は日程調整がつかず実施できておらず、低学年担任との協議、小学校における個人差の見られやすい動きや全体的に不得手な傾向にある動きの担任インタビューが十分に行えなかった。これについては、幼小合同研究会および園内研究会で園長(校長兼務)を含めた協議により多少の実態は明らかにされたが、十分とは言えず来年度早々に実施の予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.運動遊びの検討:前年度の結果を基に運動遊びの中に見られる動きを基に運動遊びの見直し引き続き検討、教育課程への位置づけを試みる。この作業は、園内研究会において幼稚園教諭と申請者とが協議する形で実施する。園内研究会の日程はすでに調整済みである。 2.運動遊びの実践:1で検討した運動遊びを保育において実践する。この際、運動量の目安として身体活動計を幼児に装着させ、内容を検討する際の参考にする。 3.体力・運動能力検査:幼児と低学年を対象に前年度と同様の方法にて実施する。 4.動きの評価:引き続き担任による動きの評価を実施し、前年度顕著にみられた学年差についても検討を試みる。 5.低学年担任へのインタビュー:前年度十分に行えなかった低学年の子どもの様子についてインタビューを行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に沿っておおむね以下の通り計画している。 【旅費】今年度の成果発表としての国内学会旅費(日本発育発達学会)、シンポジウムでの成果発表(日本体育学会) 【人件費謝金】対象園校での運動能力検査の補助およびデータ集計補助(大学院生等)、園校謝金 【その他】対象園の運動遊びに使用する遊具教材、消耗品等
|