2012 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブな生涯教育のための「教えないダンス指導」の検証
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24500700
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐分利 育代 鳥取大学, 地域学部, 教授 (60093598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
インクルーシブなダンス学習にとっては、「教えないダンス指導」が有効と考え、その実証の積み重ねを計画した。 先ず、ロンドンを拠点としてインクルーシブなダンスの指導を行っているヴォルフガング・シュタンゲ氏の指導の特性と指導理念を、指導現場の観察と氏へのインタビューで探った。言葉かけの内容ととそのタイミング、動きでの例示、試技者の順序、最も理解してくれているアシスタント、参加者によって自在に変化する活動内容等に氏の指導特性が見られた。 次に、様々な対象とのダンスクラスを実践した。それらは、①知的障がい者を含むインクルーシブなダンスクラス ②年齢混合の精神障害者のクラス ③幼児とその親のクラス ④年齢混合の車椅子利用者のクラス ⑤異言語の知的障害児のクラス(ベトナム、ホーチミンシティの3つの知的障害児学校の、計7クラス) ⑥中高年女性のクラスである。①④は継続的なクラス、②は複数回実施したクラス、③⑤⑥は1回ずつ行ったクラスである。これらのクラスでは、動きで「真似る」と「渡す」を手がかりに活動した。 そして、ヴォルフガングシュタンゲの「自在に変化する活動内容」を楽しむ雰囲気が、参加者の自己開放に繋がるとの複数の事例を得た。一方、初めて出合う対象とのクラスでは、使用する部屋、元々のそのクラスの指導者が一緒に活動するときの補助のあり方という、物的、人的環境の整備の問題が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先ず、対象を変更したことである。特に小、中学校では、教員の異動によって、高校は、カリキュラムの問題で計画を断念せざるを得なかった。 次に、収集した資料を整理し、データを蓄積できる時間の確保ができなかったため、データの3分の2は整理途中である。 ホーチミンの障がい児学校で、経過観察する対象児を確保できなかったことである。今後は録画したビデオで変化を観察する方法にしたい。 途中経過の発表を1度しか行えなかった
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Strategy for Future Research Activity |
25年度はホーチミンにおいて、各学校の教員を対象に、「教えないダンス指導」に関する理解を得るための講座を開かせていただくことになっている。このことで、理解あるアシスタントが得られることと、通常の授業でも「教えないダンス指導」の理念を活かしてくれる者と期待できる。各学校での学習指導を次年度も行う。 鳥取での各グループの指導を継続し、ビデオによる観察、分析を行い、「教えないダンス指導」による効果の評価を試みる。 ダンス指導の先行資料における、ことばがけ等の例をできるだけ収集し、比較対象とする。 「教えないダンス指導」のためのポイントの客観的な言語化をほぼ確定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ホーチミンの障がい児学校での指導のために、補助者1名を同行する。ホーチミンでの通訳、研究協力への謝金を考えている。新たに、ハノイでの、自閉症の子どもとその親のグループを対象に指導する機会を得られるので、そこでも、指導を試行し資料を得たい。そのための旅費、通訳謝金として使用する。 ダンス指導のDVD、指導実践報告等の購入と、分析のための補助者経費を使用する。 研究の途中結果を体育学会と、舞踊教育研究大会で発表する。そのための旅費と使用する。
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Research Products
(1 results)