2014 Fiscal Year Annual Research Report
幼少年期のこころと体の調整力を育む運動(遊び)の量と質
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24500708
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
高井 和夫 文教大学, 教育学部, 准教授 (00383216)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 調整力 / 心理社会的要因 / 身体活動 / 基礎的な動き / 幼少年期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的において、こころと体の調整力の発達プロセスに相互に関連する量的及び質的側面について実証研究に基づく解明を通じて,その全体像の理解を試みた.本年度においては、下位課題を解決するため、幼少期の家庭環境,各発達期の有能感,保護者の関わり,及び活動量の間の要因分析の結果を図解し、要因間の関連性の全体像の理解を試みた. 最終年度の研究成果について下記に要約する:(1)幼少期の家庭環境における絵本読み聞かせや一緒に遊ぶ等の応答的な関係性を共有する機会がその後の運動(遊び)への関わりにおいて重要な役割を果たすこと,(2)子どもの運動(遊び)に対する親の課題指向性が運動(遊び)環境の充実化を促すとともに,応答的かつ協同的な関わりが子どもの活動量を高め,その中での個の成長に沿った相互的な関わりが有能感を高めること,(3)幼少期からの各発達期における運動(遊び)への肯定的な関わりとその連続性は成人期における社会性発達に関連する,と示唆された.なお,児童期後期から思春期以後にとくに女児に顕著となる活動量の低下に関しては未解明の部分も多く,今後の効果的な検討と対策が求められる。 研究期間全体の成果についてまとめると、幼少年期における心身の調整力の量と質とは、(1)貢献要因の量的側面において、正課・課外での運動(遊び)活動の量と指導内容がかかわること、(2)各発達期において周囲の重要な他者(保護者、仲間、指導者)の寄与度が変化すること、また(3)活動量の単なる増加が『基礎的な動き』を育むのではなく、人的・物的環境との応答的な相互作用が大きな役割を果たすと示唆されること、が明らかとなった。さらに(4)質的側面については、特に保護者や指導者による観察的評価の有効性と『基礎的な動き』の育成への可能性が示唆された。
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