2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500713
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
波照間 永子 明治大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80336487)
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Keywords | 舞踊 / 琉球舞踊 / 韓国舞踊 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 身体技法 / 舞踊教育 |
Research Abstract |
2013年度は、次の3点について研究を実施し国内外の学会および研究機関にて公表した。以下に概要を記す。 1.【琉球・韓国の近代期の舞踊における「手巾」の象徴性と技法】 琉球・韓国ともに近代期の舞踊に焦点をあて、共通に用いられる小道具「手巾」の象徴性と技法について調査した。その成果を比較舞踊学会大会シンポジウム(2013年11月30日、@東海大学)にて公表するとともに同学会誌に概要を執筆した。あわせて、本研究の結果およびそれを踏まえた現代舞踊を創作し共同研究者が所属する韓国・成均館大学校公開講座で発表した(2014年3月15日)。→『比較舞踊研究』第20巻:52-60 2.【琉球の近代舞踊にみる外来要素の導入】 韓国の近代期の舞踊「新舞踊」では、日本のモダンダンスの影響で技法上でも洋舞的要素が強く反映しているという特徴が見られた。一方、琉球のほう舞踊全般に洋舞的要素は希薄であるが、伊良波尹吉作『南洋浜千鳥』という作品にバレエの技法が導入されていた。同作品が誕生した背景および作品分析を通して、琉球舞踊に外来の舞踊が取り入れられるプロセスの一端を明らかにした。→『文化人類学研究』第14巻:20-40 他 3.【琉球における武術と舞踊の比較研究】 明治大学身体コミュニケーション研究所研究推進員、ソリドワル氏の協力を得て、琉球王朝尚家に伝わる武術「本部御殿手」と舞踊の比較研究を行った。その成果を日本スポーツ人類学会にて報告した(2014年3月28日 @東京学芸大学)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書では、2012年度に王朝期および近代期の舞踊の両方の特性を扱うと計画していたが、衣装の比較も含め詳細に検討する必要が生じたので、2012年度に王朝期の「宮廷舞踊」を、2013年度に近代期の舞踊「雑踊り」「新舞踊」を扱った。「袖」と「布」に関連する演目に対象を絞ったため、興味深い結果が得られ2年間にわたり比較舞踊学会シンポジウムにて公表する機会を得た。 2014年度は2013年度に研究する予定であった「伝承法」を取り上げる予定である。多少の遅れはみられるもの、おおむね順調に進んでいる。共同研究機関(成均館大学他)とのネットワークも築かれており良い体制で運んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は、「伝承法」をテーマとし、舞踊および舞踊と関連する民俗祭祀をも視野に入れて調査を実施する。 具体的には、琉球舞踊と韓国舞踊の教授システム-①稽古場における伝承、②学校等における舞踊教育、③無形文化財制度の内容-について精査する。あわせて、かねてより類似性が指摘されてきた「綱引き」に焦点を当て、琉韓の身体文化の比較を行う。そのため琉韓の「綱引き」調査を担当する分担者(スポーツ人類学)を一名追加する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年3月15日に、共同研究者が所属する成均館大学(ソウル)の公開講座にて、2013年度の成果発表を行った。その際の旅費の一部、翻訳・通訳謝金、研究協力者(実演家・インフォーマント)出演謝金等は、次年度扱いとしたためである。 2014年度は、これまでの研究を論文としてまとめ公表するとともに、「伝承法」に関する調査を実施する。8月下旬に成均館大学にて中間報告会を行い、12月初旬に比較舞踊学会にて今年度の成果を報告する予定である。調査発表旅費・インフォーマントへの謝金など支出が予想されることを念頭に計画的に使用していきたい。
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