2012 Fiscal Year Research-status Report
剣道の国際的普及をめぐる韓国ヘゲモニーに関する基礎研究
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24500714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
小田 佳子 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (30584289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 良享 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (00153734)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日本剣道KENDO / 韓国剣道KUMDO / 文化変容 / ヘゲモニー / 国際的普及 |
Research Abstract |
本研究は、隣国である韓国剣道(KUMDO)が競技力を高め、国際的な大会において日本剣道(KENDO)と覇権争いを演じつつある現在、剣道を巡る出自、歴史、政治の各側面から、そのヘゲモニー問題という文化摩擦が生じ始めた現状について、これまでの剣道の国際的普及における、日本剣道(KENDO)と韓国剣道(KUMDO)の文化的・競技的相異点を解明し、日本剣道(KENDO)の韓国への伝播そして変容過程を明らかにすることを目的としている。 本研究の目的を達成するため、以下の4つのテーマを設定した。 1)剣道における伝統文化論の諸説 2)日本剣道KEDNOと韓国剣道KUMDOの歴史と現状 3)剣道の競技化と国際化の課題-柔道とテコンドウの国際化の軌跡から- 4)日本剣道の国際的普及における今後の方向性 まず平成24年度は、テーマ1)及び2)について検討するために、韓国実地調査および文献検索に着手した。1)剣道における伝統文化論の諸説に関しては、武道学研究及び文化人類学の分野における関連する文献を精読し、伝統文化論と剣道との関連を検討した。2)日韓両国の剣道に関する歴史と現状については、韓国における剣道普及の実態を把握するために、国際剣道連盟に加盟する大韓剣道会に調査研究協力を依頼した。韓国で開催される剣道の全国大会の視察及び、韓国武道学会に所属する研究者の協力により学術関連文献の資料収集と25年度に実施する調査の予備調査に着手した。 なお、本研究の進捗状況については、日本武道学会(H24.9)、体育・スポーツ哲学会(H24.8)、IAPS国際スポーツ哲学会(H24.9)において、それぞれの検討課題に関する学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
剣道における伝統文化論の文献研究および、日本剣道KEDNOと韓国剣道KUMDOの歴史と現状に関する検討のための調査研究については、おおむね計画通りに進展している。しかし、韓国での歴史的資料については、現実的には大韓剣道会においても入手困難な実態が明らかになった。 また、韓国での実地調査では、夏季に韓国南部(釜山地区を中心とする)を、春季に韓国北部(ソウル地区)を巡回し、各大学機関および地域の剣道道場と剣道大会の視察を実施し、韓国の学術研究者や剣道愛好家とのネットワークから、文献検索および情報収集を効率的に進めることができた。さらに、平成25年度に着手する剣道に対する価値観や国際観に関する意識調査(予備調査)を日韓両国で実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の進行状況を踏まえて、引き続き計画通りの研究を実施する。さらに、昨年度の実績から研究代表者・研究分担者の従来からの人的ネットワークを超えて、国際的研究ネットワークを活用し、研究の範囲を広げることとする。 具体的には、平成25年度は、韓国と日本での剣道の価値と国際化に関する調査を実施し、その結果を分析し検討をする。さらに、日本柔道やテコンドウの国際化の過程と課題に着目し、伝統的武道の国際化・競技化における文化変容を明らかにする予定であったが、文献資料上、柔道からのアプローチを中心に実施したい。現段階でのテコンドウに関する資料・情報収集には、更なる研究時間を要する。この点では、研究計画との若干のずれをもたらしている。 さらに、段階的な学会発表を実施し、本研究に対する検討を加え、資料及び情報収集を行う。国際学会では、2013 IAPS国際スポーツ哲学会(アメリカ・フラートン大)での発表を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、9月にアメリカ・フラートン大学で開催されるIAPS国際スポーツ哲学会第41回に参加し、研究の一部報告と共に資料・情報収集を行う。さらに、本年度の第46回日本武道学会では、第1回国際武道会議と同時開催し、大韓武道学会との共催となるため、国際セッションでの発表を試み、人的ネットワークづくりと情報収集を行う。 平成24年度の研究分担者(近藤)の未使用の20万円は、当該年度に訪問予定の韓国の大学との日程調整ができなったため、他の協力者(井上・三苫)に依頼した。そのため、当該経費は平成25年度に繰り越し、6月に訪問するECSSヨーロッパ大学スポーツ科学会議における旅費に充当することとした。
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Research Products
(4 results)