2013 Fiscal Year Research-status Report
剣道の国際的普及をめぐる韓国ヘゲモニーに関する基礎研究
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24500714
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
小田 佳子 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (30584289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 良享 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (00153734)
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Keywords | 日本剣道KENDO / 韓国剣道KUMDO / 国際的普及 / 文化変容 / ヘゲモニー |
Research Abstract |
本研究は、隣国の韓国剣道(KUMDO)が競技力を高め、国際的な大会において覇権争いを演じつつある現在、剣道を巡る出自、歴史、政治の各側面から、そのヘゲモニー問題という文化摩擦が生じ始めた現状から、これまでの剣道の国際的普及における、日本剣道(KENDO)と韓国剣道(KUMDO)の文化的・競技的相異点を解明し、日本剣道(KENDO)の韓国への伝播そして変容過程を明らかにすることを目的としている。 本研究の目的を達成するため、以下の4つのテーマを設定した。 1)剣道における伝統文化論の諸説 2)日本剣道KEDNOと韓国剣道KUMDOの歴史と現状 3)剣道の競技化と国際化の課題-柔道とテコンドウの国際化の軌跡から- 4)日本剣道の国際的普及における今後の方向性 2年目の平成25年度は、4)日本剣道の国際的普及の方向性に関して、体育スポーツ哲学研究(2012,Vol.34-2)において論文をまとめ、日本剣道KENDOの国際的普及が文化普遍主義に依拠する困難を検討した。さらに3)武道の国際化の課題として、日本における柔道JUDOにおける課題と韓国におけるテコンドウの課題に着手した。なお、研究の進捗状況については、日本武道学会第1回国際武道会議(H25.9)、IAPS国際スポーツ哲学会(H25.9)において、それぞれの検討課題に関する学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
剣道における伝統文化論の文献研究および、日本剣道KEDNOと韓国剣道KUMDOの歴史と現状に関する検討のための調査研究については、おおむね計画通りに進展している。さらに、剣道に対する価値観や国際観に関する意識調査を日韓両国の審判員を対象に実施し、その結果をH25日本武道学会の国際会議で発表報告することができた。そこでは、剣道に関する価値観6観点(精神的価値、身体的価値、技術的価値、教育的価値、文化的価値、社会的価値)の内、身体的・社会的価値以外には日韓の間に差異は認められなかったが、国際的価値については、顕著な差異が認められた。 また、韓国実地調査では、H26春季に韓国(ソウル地区)を中心に巡回し、特に梨花女子大学語学院で韓国語の習得を目指しながら、地域の剣道道場と剣道大会の視察を実施した。さらに、韓国の学術研究者や剣道愛好家とのネットワークを広げながら、文献検索および情報収集を効率的に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の進行状況を踏まえて、引き続き計画通りの研究を実施する。さらに、昨年度の実績から研究代表者・研究分担者の従来からの人的ネットワークを超えて、国際的研究ネットワークを活用し、研究の範囲を広げつつ、研究最終年度としてまとめる。 具体的には、日本武道学会や韓国武道学会といった武道関係学会だけではなく、広く国際的スポーツの観点から国際スポーツ哲学会などを通して、情報収集を図り、その研究の視野を広げる。また、今年度は、H25年度に実施した韓国と日本での剣道の価値と国際化に関する調査結果の分析を両国間の大学生で検討する。 さらに、段階的な学会発表を実施し、本研究に対する検討を加えながら、最終年度である本研究のまとめを行う。本年度は、第47回日本武道学会(広島・福山市立大学)及び第36回日本体育・スポーツ哲学会(筑波大学)での発表を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究分担者(近藤)への分担金が海外研究者との日程変更から未使用であったため、平成25年度への繰越総額が50万円となった。研究分担者はその予算をH25年度に予定していたIAPS国際スポーツ哲学会(アメリカ・カリフォルニア大学)等での情報収集の旅費に充てたが、66,855円の残金が生じた。そのため、当該経費は平成26年度に繰り越し、9月に予定しているIAPS国際スポーツ哲学会(ブラジル・ナタル)参加の旅費及び情報収集のための人件費等に充当することとする。 本年度は、9月にブラジル・ナタルで開催されるIAPS国際スポーツ哲学会第42回に参加し、資料・情報収集を行う予定であるため、ブラジルまでの旅費を計上する。 さらに、本年度は第47回日本武道学会および日本体育・スポーツ哲学会での発表を予定する。そこでは、昨年度の第1回国際武道会議国際セッションからの継続研究及び、剣道の有効打突の評価基準に関わる検討を通して、学会発表による研究最終年度のまとめをする。これらに関わる調査研究費および知的財産(翻訳)の提供、及び旅費を計上する。
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Research Products
(10 results)