2014 Fiscal Year Research-status Report
生体の着地衝撃緩衝特性および筋活動量からみたシューズ性能の評価
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24500729
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 剛生 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (90181833)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 加速度計測 / 動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はランニング障害の予防に貢献することを最終目的とし,慣性センサによる計測と無線式の計測システムを構築し,長時間ランニング時の下肢動作と着地衝撃および筋活動量の計測を行い,被験者のランニング動作の特徴とランニングシューズの性能を評価することを目標としている. 平成26年度においては,筋電位計測の信頼性および計測データの処理方法の妥当性を検証し,逆動力学解析による下肢関節トルクと筋電位計測による筋活動量との関係を考慮しながら,下肢粘弾性機構の働きと着地衝撃伝達特性の関係を検討した. 被験者10名を対象に,立位姿勢を基準に,歩行時,ジョギング時,階段降り時の3種類の動作について,床反力計よる着地衝撃計測,下肢筋群における筋電位計測,動作解析による下肢関節の動力学的動態を分析した.筋電位計測による筋活動量の推定では,最大筋力発揮時の筋電位を基準に各活動中の筋電位を正規化した.下肢関節における動力学的な動態においては,足関節および膝関節のほかに足部の体節を前足部と後足部に分割することによりアーチ部における動力学的な挙動も分析した.その結果,着地衝撃の大きさは歩行時,階段降り時,ジョギング時の順に大きくなり,それに伴い下肢関節の発揮トルクが増加する.しかし,筋活動量も増大することにより,下肢の粘弾性特性が変化するため,着地時の衝撃の伝達特性も変化することがわかった. 下肢の粘弾性特性と着地時の衝撃の伝達特性が,長時間のランニングによる筋疲労によりどのように影響されるのか,衝撃緩衝性が高いシューズを着用することによりどのように影響されるのかを検討する予定であった.しかし,測定システムのトラブルにより測定の継続が困難な状態になってしまった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度の研究計画は,1)床反力の計測と逆動力学解析を行い,下肢の関節トルクや筋電位計測による筋活動量と合わせて考察することにより,膝伸展機構の働きと加速度伝達特性の関係,筋活動状態と加速度伝達特性との関係などを検討すること.2)ランニングの着地時について足部・膝部・腰部の加速度計測を行ない,ランニング着地時の衝撃の伝達特性を評価する.同時に下肢筋群の筋電位を計測し,下肢筋の活動状態を考慮しながら検討すること.3)長時間のランニング時に下肢筋の活動状態と着地衝撃の伝達特性の関係がどのように影響するのか.4)ミッドソール構造の異なる市販のランニングシューズを着用して落下着地動作やランニングを行った際の下肢の動作制御と着地衝撃緩和効果を評価し,スポーツシューズのクッション性について評価を行なうことであった. しかし,測定システムのトラブルにより,測定の継続が困難な状態になってしまったため,上記の3)と4)の実験が実施することができなかった. そのため,平成26年度に完了しなければならない研究課題ではあったが,平成27年度の研究継続を申請し受理されている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度において,測定システムのトラブルにより測定の継続が困難な状態になってしまったため,平成26年度に完了しなければならない研究課題ではあったが,平成27年度も研究を継続することになった.そこで,平成27年度の研究計画は次のように進める. 1)ランニングの着地時について足部・膝部・腰部の加速度計測を行ない,ランニング着地時の衝撃の伝達特性を評価する.同時に下肢筋群の筋電位を計測し,筋の活動状態を考慮しながら検討する. 2)長時間のランニング実験を実施し,下肢筋の疲労状態等が上記1)の検討項目に対してどのような影響を及ぼすのかを検討する. 3)ミッドソール構造の異なる市販のランニングシューズを着用して落下着地動作やランニングを行った際の下肢の動作制御と着地衝撃緩和効果を評価し,スポーツシューズのクッション性について評価を行なう.
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Causes of Carryover |
ランニングの着地時について足部・膝部・腰部の加速度計測を行い,着地衝撃の伝達特性を評価し,同時に下肢筋群の筋電位を計測し,筋の活動状態を考慮しながら検討する予定であった. しかし,既存の筋電位計測システムの不調により筋電位計測が困難となり,新規システムを調達しようとした.ところが調達が遅れ,被験者を用いた実験が十分に実施できなかったため,研究協力者謝金として予定していた費用が未使用となった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に予定していた1)ランニングの着地時の加速度計測を用いた着地衝撃の伝達特性と,筋電位計測による下肢筋群の活動状態との関係,2)クッション性の異なるシューズの評価を下肢筋群の活動状態と着地衝撃緩衝効果から検討する実験を行うことにする. そのため,未使用額については実験に参加する研究協力者の謝金として使用する.
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