2013 Fiscal Year Research-status Report
長距離走における下肢の動作および筋活動に関する包括的研究
Project/Area Number |
24500730
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岡田 英孝 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20303018)
|
Keywords | 長距離走 / 表面筋電図 / 下肢筋活動 |
Research Abstract |
本研究では長時間走行中の走者の下肢動作および下肢筋活動の変化・変動を包括的に分析し,長距離走パフォーマンス向上に役立つ知見を得ることを目的とする. 25年度は研究課題1として,走速度の変化にともなう筋の動員変化の機序に関する実験(実験1)を行った.日常的に長距離走トレーニングを行っている7 名の青年男性を被験者とし,トレッドミルを用いて4分間の一定負荷(速度)走行実験(5ステージ)を行った.走速度は180,210,240,270,300 m/minとし,各ステージ間には十分な休息を挟んだ.被験者の右脚の大腿直筋(RF),外側広筋(VL),大殿筋(GM),大腿二頭筋長頭(BF),半腱様筋(ST),前脛骨筋(TA),腓腹筋内側頭(GT),ヒラメ筋(SL)の8 筋にディスポーザブル電極を貼付し,ワイヤレス電極プローブ(FreeEMG,BTS 社製)を装着して表面筋電図を計測した.同時に光学式モーションキャプチャシステムを用いて下肢動作を計測した. また,研究課題2として,疲労時のパフォーマンス維持のために走者が採っている方略に関する実験(実験2)を行った.日常的に長距離走トレーニングを行っている7名の青年男性を被験者とし,トレッドミル上で3種類(290,310,330 m/min)の速度で疲労困憊に至るまで長時間走行を行わせ,課題1と同様に下肢8筋の表面筋電図と下肢動作を計測した.なお,各走速度における実験は日を変えて行い,実験間隔は最低でも3日以上とした. 2つの実験結果より,支持期における大殿筋,大腿二頭筋,半腱様筋,遊脚期における大腿直筋,大殿筋,腓腹筋の活動が走速度の増加に貢献していること,長時間走行による疲労は離地時の蹴り出しにおける筋の力発揮を減少させるが,遊脚期における大腿の可動範囲を大きくすることにより走速度を維持させていることなどが明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度に予定していた実験1(走速度の変化にともなう筋の動員変化の機序に関する実験)は2名の被験者でしか行うことが出来なかったため,追加実験を行い被験者数を増やした.また,実験2(疲労時のパフォーマンス維持のために走者が採っている方略に関する実験)を行った.これにより24年度の遅れを取り戻し,概ね当初の研究計画どおりに進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度は以下のように研究を推進していく. 課題1と課題2において,パフォーマンスレベルと筋活動変化の関係について,検討していく.その為に上記の実験1,実験2それぞれについて追加実験を行う予定でいる.追加実験では鍛錬者だけでなく,非鍛錬者を対象とし,同様の計測を行う.これにより,走速度の変化および疲労の蓄積によって変化する筋の動員の程度がパフォーマンスレベルで異なるか否かを検討することが可能となる. また,下肢のキネマティクスおよびキネティクス(キネティクスは遊脚期のみ)について解析を進め,筋活動と下肢動作の関わりについて検討する. 26年度はまとめの年度であるため,研究課題1および2から得られた知見を総合的にまとめ,長距離走のパフォーマンスを高めるための動作学的知見を示す.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたよりも消耗品の使用が少なかったため,次年度使用額が生じた. 26年度請求分は当初予定通りに使用し,25年度に生じた次年度使用額についてはデータ保存用のハードディスクドライブやDVDメディア等に充てる.
|