2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500737
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
布目 寛幸 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (10270993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋間 広 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40292841)
池上 康男 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (60092988)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / オーストラリア / サッカー / キック動作 / 慢性障害 |
Research Abstract |
当該年度は、研究の基盤となる測定手法の確立を目指した。本年度において実験手法の確立を目指したものは、1)超音波法によって長内転筋および大内転筋の大腿部内側部に表出している部位を正確に特定し、そこからキック動作中の表面筋電図を導出すること、2)表面筋電図法と合わせてキック動作のモーションキャプチャーを行い、前述の2つの筋の動作中の伸張/収縮動態を推定すること、3)ボールインパクト中に足部がボールから受ける衝撃力を見積もるモデルの妥当性を検証することであった。 1では、キック動作中の表面筋電図の導出に成功し、筋放電量がキック課題によって異なること、これまで研究の対象とされてこなかったフォロースル―時の筋放電が、それまでの筋放電よりも顕著に高いことが示された。 2では、Delipらの筋骨格モデルより筋の起始停止を同定し、その3次元的な直線距離からそれらのの伸張/収縮動態を推定した。結果としてキック課題による違いを特定できたことに加え、蹴り脚よりも支持脚の方が筋の収縮幅が大きいことが示された。 3では、垂直に固定したフォースプレートにボール投射機からボールを投射し、その際のボール変形量を超高速映像から得た。フォースプレートによって測定された衝撃力を基準に3つのモデル:ボール幾何学中心モデル、ボール重心モデル(Shinkaiら)、Hertzの接触理論モデルから衝撃力を見積もった結果、幅広い速度領域に渡ってShinkaiらのボール重心モデルが基準値とよく一致することが示された。 本年度に行った実験手法の確立実験の結果は、概ね良好で、次年度以降の研究に関する手法的な基盤を確立することができたと考えられた。また、オーストラリアより研究者を招き、研究全体に関するレビューを受けることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に行った実験手法の確立実験の試みは、概ね良好な結果であり、次年度以降の研究に関する手法的な基盤を確立することができたと考えられた。 また、オーストラリアより研究者を招き、研究全体に関するレビューを受けることができ、国際的な視野からも本研究の新奇性と手法の妥当性に関して議論を深めることができた。 表面筋電図法に関して、Charnockらの先行研究における触診では、長内転筋および大内転筋の表出位置の特定が困難であると考えられため、Watanabe & Akima が用いた超音波画像診断を応用することで正確な位置の特定ができるようになった。 筋の伸張/収縮動態を推定に関して、本研究では、Charnockらの先行研究の手法にほぼ従ったが、先行研究では検証されていない支持脚側においても同様の推定を行い、新たな知見を得ることができた。 ボールの衝撃力に関しては、複数の推定モデルの検証を試み、幅広い速度領域に渡ってShinkaiらのボール重心モデルが基準値とよく一致することが示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度において確立した実験手法を元に、サッカー選手(特に鼠径部に障害歴のある選手)を対象とした実験を行い、どのようなキック課題が蹴り脚側と支持脚側の長内転筋および大内転筋にストレスとなるのかを明らかにすることを目指す。 とりわけ、同障害との関連が強く疑われているインサイドキックと他のキック動作との比較を行い、インサイドキックが他のキック動作に比べて障害に対するリスクが高いのか、低いのかを明らかとすることを目指す。 さらに、過去に同障害の罹患歴がある被検者についても同様の解析を行い、キック動作における個性(個別の動作特性)が内転筋群への負荷に与える影響を明らかにすることを目指す。 これらの知見からキック動作ごとの障害のリスクを見積り、禁忌となる動作を特定することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に確立した実験手法から継続的にデータを蓄積するとともに、同分野の研究に関する最新の研究資料を国際学会等を通じて広く収集する。また、実験データの収集がある程度進んだ時点で、外国人研究者のレビューを受ける予定である。 本年度、継続的に行う実験は、1)一般的なサッカー選手を対象に同障害との関連が疑われているインサイドキックと他のキック動作との比較を行い、インサイドキックが他のキック動作に比べて障害に対するリスクが高いのか、低いのかを検討する、2)さらに過去に慢性の鼠径部障害の罹患歴があるサッカー選手を対象として実験を行い、キック動作における個別の動作特性が内転筋群への負荷に与える影響を検討する。
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Research Products
(5 results)