2013 Fiscal Year Research-status Report
1950~1970年代の高知県における市町村民運動会の社会的機能に関する研究
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24500749
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
清原 泰治 高知県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00225096)
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Keywords | 市町村民運動会 / スポーツ史 / 社会的機能 |
Research Abstract |
第二次世界大戦が終わり、戦争と南海地震による災難を乗り越えて、1950年11月23日、高知市主催の「市民大運動会」が始まっている。当日はたいへん盛り上がり、この運動会は恒例化し継続されていった。 一方で、各校区では住民主体の「区民運動会」が盛んに開催されていた。1957年9月、高知県教育委員会健康教育課は、「市町村民運動会案」を公表する。この年の7月、同課は各市町村に体育指導委員を配置し、社会体育の推進体制の整備に着手した。その一環として、増え始めた市町村民運動会の「ひな形」を示し、「社会体育」としての意味を持つ地域スポーツイベントとしての定着を図った。「運動会案」には具体的な種目名があがっており、100メートル走、リレー、マスト登り、職域別・年齢別リレー、学童リレーなどの競技的な種目の他に、「おしどり二人三脚」「ロマンス競走」「借物競走」「樽ころがし」「民謡踊」「仮装行列」「応援団コンクール」「タイつり」といった娯楽的要素の強い種目も並んでいる。 高知市では40人の体育指導委員が任命されているが、委員は各校区から選出されており、県の示したような運動会が展開されていたことが想像できる。 しかし、実際には、多くの運動会で得点を巡るトラブルが起きていた。1960年代、ある小学校区の運動会で、判定を巡っていさかいが起きた。酒の勢いもあって大げんかとなり、翌年から運動会が開催されなくなった。2年ほどして再開したが、地区対抗形式の競技方法を止めている。得点を巡るトラブルは運動会にはつきもので、県内各地で住民同士のけんかが絶えなかった。 得点に関わるトラブルが生じた校区では地区対抗形式を止めたが、トラブルが起きなかった校区や地区対抗形式にこだわり続けた校区では、得点制の運動会の競技方法を継続した。そういった校区では、体育指導委員のトラブルを避けるための努力は並大抵ではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、学生指導や学内業務に費やす時間が多く、研究のための時間が不足した。そのため、高知市の運動会の調査に集中せざるを得ず、県内各市町村の運動会の資料収集が思うように進んでいない。 しかし、県内の各市町村の広報の記事を部分的ではあるが収集することはできており、平成26年度中には計画通りに研究を進めることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの作業に引き続いて、資料調査を実施し、資料収集につとめる。 高知新聞の記事については、前半までに資料収集をすませて、記事目録を作成する。市町村広報については、所在は明らかになっているので、早期に不足している資料を集める。また、当時の関係者もわかっているので、聞き取り調査を進める予定である。 さらに、国立国会図書館をはじめ、高知県以外の図書館に所蔵されている資料の収集にあたり、市町村民運動会についての全国的な動向の把握に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の理由により、研究が思うように進まなかったため、助成金を計画通りに執行することができなかった。特に、高知県外の図書館での調査ができていないので、旅費の執行ができていない。 平成26年度は、上記の図書館での調査を計画しているほか、県内各地での資料収集に努めるので、計画通りに執行することができる見込みである。十分な研究成果をあげることができるように、計画的・効率的な研究の進展を行う。
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