2014 Fiscal Year Research-status Report
地方自治体の生涯スポーツ振興計画の政策形成過程とその効果に関する国際比較研究
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24500758
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
野川 春夫 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70208312)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 生涯スポーツ / 振興政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、わが国ならびに諸外国の地方自治体における生涯スポーツ振興計画の政形成過程およびその実施効果を国際比較の視点から明らかにすることである。 研究を進めるにあたり、生涯スポーツの先進国のブリュッセル自由大学(ベルギー)のM. Theeboom教授およびP.DeKnop総長と研究の枠組みを検討し、文部科学省青少年スポーツ局スポーツ振興課および笹川スポーツ財団の担当者等を加え、海外における生涯スポーツ振興政策のワークショップを実施し、日本とベルギーにおけるブロック別、地域(市)レベルの現状と問題点を討議した。 生涯スポーツ振興に積極的に取り組んでいる東アジア(韓国・台湾)と東南アジア(シンガポール・マレーシア)の研究者・政策担当者等からも積極的に情報収集を行い、政策形成過程のメカニズムだけでなく、実施効果の測定方法(含むモニタリング)についても確認する手がかりを掴みつつある。 自治体調査に関しては、東京都を中心とした調査計画に切り替え、東京都広域スポーツセンターが中核となって推進している地域スポーツクラブ振興事業の調査研究を進めるための予備調査を実施した。ちなみに、予備調査を基にした研究成果を日本体育学会(岩手大学)と日本生涯スポーツ学会(大阪体育大学)において共同研究として発表を行った。また、日本のスポーツによる地域活性化および青少年教育に関する振興事業については、北米スポーツ社会学会において共同研究として発表した。 さらに、総合型地域スポーツクラブの育成を含め、順天堂医学に“In Pursuit of the Sport for All Society in Japan ; Realization of Sporting Utopia”Vol.60, No. 4, 327-336, 2014.を発表してる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初は、ベルギー・ドイツ・オランダ・英国およびオーストラリア・ニュージーランドを中心としたヨーロッパ型の諸国と東アジア(中国・韓国)を中心とした国際比較研究を予定していた。しかしながら、2013年9月に2020東京オリンピック・パラリンピック開催が決定してからは、「オリンピックレガシー」を基盤としたスポーツ振興事業に国家として、また地方自治体として切り替わったことから、研究の枠組みを再考する必要あった。 だが、近年オリンピックやパラリンピックを経験した国々においては、韓国・中国・ロシアなどと日本国との関係が決して捗々しくないことと、ISIL(イスラム国)によるテロへの不安が高まり、国際パネルディスカッションを遂行することが躊躇され、研究の枠組みを再度検討する必要があった。 国内においても、国レベルではスポーツ庁が発足する見通しが立ち、また東京都はポスト2020東京オリンピック・パラリンピックの政策検討の気配があることから(筆者は東京都スポーツ振興審議会の会長を務めている)、さらに研究計画を1年延ばして、オリンピックレガシーとの文脈の中で、本テーマを進めるのが得策と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2010年に第1回ユースオリンピックを開催したシンガポールは「Vision 2030: Live better through sports」を発表し、地域スポーツの振興を地域スポーツクラブを拠点として進めている。また、限られた都市規模において、スポーツ振興を推進するための様々なプロモーション、施設整備などを行っていることから、これらの情報を重点的に収集していく。また、本研究者が所属する独立行政法人日本スポーツ振興センターの情報国際部との協力によって、この政策のモニタリングに関しても情報収集を行う。 ヨーロッパの生涯スポーツ先進諸国を訪問して生涯スポーツ振興計画の政策形成過程とアウトカムに関する情報収集を実施する予定であったが、10月にハンガリー・ブタペスト市において開催される国際生涯スポーツ協議会(TAFISA)に先述の国々の関係者が一堂に会することから、出張先をハンガリーに変更する。 さらに、東京都の地域スポーツクラブ育成およびスポーツレガシーを中核とした地域スポーツ振興計画についての調査研究を、東京都広域スポーツセンターと協力しながら進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度当初予定していた3回の海外出張(ベルギー、東南アジア、東アジア)と国際パネルディスカッションの開催が、日中・日韓関係の緊張やヨーロッパ等におけるテロへの不安が高まったため、東南アジアの海外出張しか遂行できず、予算の役2/3が残った。スポーツクラブ振興事業を2020東京オリンピック・パラリンピックのレガシー施策に連携させる自治体が増えつつあることから、質問紙およびヒアリング調査を延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定のベルギーに加え、生涯スポーツに力を入れるオランダ(ユトレヒト)、ドイツ(ケルン、フランクフルト)、英国(ロンドン)における生涯スポーツ振興計画の政策形成過程とアウトカムに関する情報収集および資料整理。国内においては、2020東京オリンピック・パラリンピックのレガシー施策を前提として、有意に抽出した複数の自治体を対象とした地域スポーツクラブ振興事業についての質問紙およびヒアリング調査を実施する。
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Research Products
(5 results)