2014 Fiscal Year Annual Research Report
民俗フットボールにおける伝統存続と近代化の受容からみるスポーツの意味変容について
Project/Area Number |
24500767
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
吉田 文久 日本福祉大学, 子ども発達学部, 教授 (30191571)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 民俗フットボール / 存続 / 変容 / 独自性 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は残されたハラトンとコーフキャッスルの2か所に加え、確認のためにセント・コラム・メジャーに出かけ、調査を行った。 まず、レスター州に位置するハラトンのゲームは、ボトル・キッキングと呼ばれ、小さなビア樽をボール代わりにして行われるユニークなゲームである。毎年イースター・マンデーにゲームは開催され、ゲームの前にパレードが行われ、その最後に観客にウサギの肉で作れたパイが投げ与えられる。ゲーム後勝者はビア樽の栓を開け、中のビールをチームのメンバーに振る舞う。他のゲームと同じくスクラムを組んで激しくビア樽を奪い合いながらゴールへと徐々に進んでいく。ハラトン村と隣村のメドボーンの間で異なる3つのビア樽が用意され3ゲーム行われ、人口わずか500人程度の村に近隣の町や村から大勢の人たちが観戦にやってくる。 次に、英国ドーゼット州に位置するコーフキャッスルでは告解火曜日にかつてゲームのセレモニーだけが行われる。ゲームについてよく知るFox Innというパブの店主(63歳)にインタビューをし、自身の父親から伝えられた過去のゲームの姿を聞き、写真も見せてもらった。セレモニーは、一人前として承認された2人に石職人がボールを蹴りながら、街中を一周するというもので、残存する民俗フットボールの中でボールを争うゲームの様相を失い、儀式化された特異なものであった。 今年度をもって、当初計画していた調査地へのゲームの観戦・調査を無事終了することができた。イングランドに残存するゲームはイングランド内に散在し、それらのゲーム間にはほとんど類似性は見られず、ゲーム空間や用いるボール、ゲームの様相、勝者への褒美ほか多様性をもって存続していることがわかった。そして、いくつかのゲームでは現代的要素が含まれたゲームに変容した姿が確認できた。成果を日本体育学会に口頭発表し、スポーツ人類学会に論文投稿をする。
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Research Products
(1 results)