2012 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症における機能的電気刺激を用いた運動療法の開発
Project/Area Number |
24500774
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
藤林 真美 摂南大学, スポーツ振興センター, 講師 (40599396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 敏夫 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (90175638)
岸田 郁子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60464533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 機能的電気刺激 / 統合失調症 |
Research Abstract |
運動は、エネルギー消費による抗糖尿病効果、インスリン感受性、糖代謝や血清脂質の改善、抗圧効果などさまざまな生理学的変化を惹起することから、健康の維持や増進の中核的要素をなしている。しかしながら統合失調症患者は、疾患の症状として無為自閉など身体不活動があげられる上に、抗精神病薬の副作用により耐糖能異常や体重増加が惹起されやすい状態にあり、実際に極めて多くの患者が肥満や糖尿病を併発しているのが現状である。一方で機能的電気刺激法は、外部から他動的に末梢神経を刺激して骨格筋を収縮させる方法であり、自発的に運動できない人たちへ運動の効果を享受させることのできる有用な手段である。本方法は、筋内の解糖系によるエネルギー利用率が高くなるとともにグリコーゲン枯渇が著しく促進される。これまでに、電気刺激により血中乳酸濃度が有意に高まり、エネルギー代謝、糖代謝が有意に活性化することや、II型糖尿病患者に食後、電気刺激を実施した結果、無刺激群に比べ電気刺激群はグルコースとCペプチド濃度が有意に低下することが明らかになっている。 本年度の目的は、統合失調症患者を対象に食後、電気刺激を介入し、血糖値の変化について検討することであった。実験は、統合失調症による男性入院患者に昼食後、30分間の電気刺激を行い、前後の血糖値を測定した。統合失調症を含む精神障害において薬物治療は非常に有効な手段の一つであるが、抗精神病薬の副作用として耐糖能異常が指摘されている。本実験結果においても、電気刺激後の血糖値の変動と抗精神病薬の投与量との間に有意な相関が認められた。今後は、抗精神病薬の種類や投与量などを十分考慮したうえで、統合失調症患者に対する運動療法としての電気刺激法を詳細に検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である本年は、統合失調症患者に対して電気刺激を行い、食後血糖値の変化について検討した。これまでに一般中高年の肥満者や糖尿病患者に対して本方法を介入した研究において、前者では血糖値と血中インスリン値が、後者では血糖値とCペプチド濃度が有意に低下することが明らかになり、代謝改善を目的とする運動療法として非常に有用な方法である可能性が示されている。 統合失調症患者は「9.研究実績の概要」で述べたとおり、抗精神病薬の副作用として体重増加を起こしやすい状態にある。抗精神病薬はその作用を発揮するために、ドーパミンD2受容体を適度に遮断するが、残念ながら同時にヒスタミンH1受容体や5-HT2c受容体なども塞いでしまうことにより、食欲亢進や過鎮静作用が起こるとされている。 抗精神病薬はこのような副作用をもつため、実際に、患者の薬物療法のコンプライアンスにまで影響を及ぼしているのが現状である。 本年度行った実験からは予測したとおり、健常者と異なり、抗精神病薬の作用が強く影響した結果が得られた。このことは今後、本方法を統合失調症患者に対する運動療法として確立するにあたり、次年度、薬理作用を十分に考慮した実験計画を立てるため非常に示唆に富んだ知見であり、本研究目標を十分に達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満や糖尿病、高血圧など生活習慣病は、死亡率と密接に関連する心疾患の危険因子として、その予防と治療は社会全体の重要課題とされている。これらの危険因子が単独に存在する場合心疾患へのリスクは変わらないが、危険因子が重なると因子数に比例してリスクが高くなっていくことが知られている。統合失調症患者は疾患の症状として無為自閉がある上に、抗精神病薬の副作用により過鎮静や食欲亢進が起こり、患者は肥満や糖尿病に罹患しやすい状態にある場合が多い。肥満や糖尿病対策として運動トレーニングは、その主軸となる有効な方法であるが、統合失調症では身体活動量が著しく少ない患者が多いのが現状であり、代替手段の確立が望まれている。 今後は2012年度に得た結果を受け、副作用として耐糖能異常を惹起する抗精神病薬を動物に投与し、薬理作用との関連について詳細な検討を行う。具体的には、体重増加を起こしやすい非定型薬であるオランザピンをマウスに投与し、体重、血糖値、自発運動量を測定し、抗精神病薬の副作用を詳細に検討する。さらにマウスを用いて、各種受容体への影響など分子レベルによる検討も行う。 また統合失調症患者に対して長期的な電気刺激を介入し、メタボリックシンドロームの重要因子である内臓脂肪量へ及ぼす作用について検証する。日本肥満学会が定める肥満1度の統合失調症患者10名を対象に12週間、電気刺激を介入、内臓脂肪CT検査を行い、臨床応用を目指すための一段階とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用内訳については、概ね計画通りに執行予定である。 前述の2012年度の研究結果を反映させ、動物による基礎実験を行い、薬理作用を詳細に確認、被験者の安全を第一優先で実験を進める。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] 慢性統合失調症患者における地域移行後の生活活動量と 栄養摂取量の調査2012
Author(s)
石井千恵, 岸田郁子,松本亜子,岩本洋子,遠藤詩郎,吉田雅美,稲葉薫,市川努,笠間麻梨,杉田朝美,石 井あゆみ,藤林真美,森谷敏夫,石井紀夫
Organizer
第1回日本精神科医学会学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20121009-20121010
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[Presentation] Effects of aripiprazole on autonomic nervous system activity in schizophrenia2012
Author(s)
Suda A, Kishida I, Fujibayashi M, Kawanishi C, Iwamoto Y, Furuno T, Ishii C, Ishii N, Sugiyama N, Moritani T, Hirayasu Y
Organizer
28th The international college of neuro-psychopharmacology
Place of Presentation
Stockholm, Sweden
Year and Date
20120603-20120607
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