2013 Fiscal Year Research-status Report
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24500775
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
増見 恭子 (小泉 恭子) 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (70379593)
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Keywords | スポーツ科学 / トレーニング科学 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
スポーツ選手にとって靱帯損傷などの故障は人生設計の変更を伴う重大事件であるが、現在までにそれら受傷しやすさを予測するような遺伝子は発見されていない。もし受傷リスクが予測できれば、事前にトレーニングの計画を工夫し、より故障の起こりにくい内容で鍛えることが可能となる。今回、靱帯損傷などの故障リスクを予測し予防すること、そして個人の筋特性を知ることでより効果的なトレーニングを行うことを目的としてACTN3遺伝子などのスポーツ関連遺伝子検査およびアンケート調査、体力測定を実施することとした。 健康スポーツ科学部学生によるスポーツ体質検査として、初年度より運動部員約100名を対象に遺伝子検査及び、アンケート調査を実施し、同時に体力測定も実施した。初年度はACTN3遺伝子の多型解析を行ったが、今年度は、ACTN3遺伝子以外の筋肉に関連する4遺伝子(ACE、UCP1、UCP2、UCP3遺伝子)も解析を行った。特にUCP2およびUCP3遺伝子では文献調査により、他の多型で有意に筋肉の性能と相関のある部位が見出されたため、さらにプライマーを設計し、再解析を行った。この結果より統計解析を試みた。 まず学生のアンケート結果より、肉離れ・靱帯損傷・骨折などの各疾患別に受傷歴のある群、受傷歴のない群を分類し、それぞれ各遺伝子多型と有意に相関するかを統計解析により判別した。その結果、肉離れ及び(靱帯断裂を含む)腱断裂において有意にACTN3遺伝子多型と相関することが判明した。またどちらの疾患においてもACTN3の577R多型を持っている人が有意に受傷歴があり、ACTN3 577Rが受傷しやすさのリスクファクターであると考えられた。この結果をまとめ、現在海外の雑誌に投稿しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、本学の健康スポーツ科学部学生の所属するソフトボール部、バトミントン部、バスケットボール部、タッチフットボール部の運動部員約100名を対象に遺伝子検査及び、アンケート調査を実施し、同時に体力測定も実施した。運動部によってオンシーズン、オフシーズンが異なるため、その合間を縫って協力してもらうために必要以上に時間がかかることから、当該年度は新たに所属した学生についての解析は難しかった。そのため当該年度はサンプル数を増やすことよりも、今あるデータから結果を導くことを主とした。 まずACTN3遺伝子以外のスポーツ関連遺伝子の多型解析に取り組み、この100検体の受傷歴と各遺伝子多型の結果から、統計解析を行った。さまざまな切り口から統計解析を行った結果、ACTN3遺伝子の多型が受傷しやすさに関連のあることを見出した。現在論文を投稿し、revise中である。 筋肉に関連のある遺伝子多型が受傷しやすさと関連しているという結果を見出せたため、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度にてACTN3遺伝子多型が受傷しやすさと関連性があることが推測された。その結果を今後も検証するため、最終年度ではサンプル数を増やして解析する予定である。本学にはソフトボール部、バトミントン部、バスケットボール部、タッチフットボール部以外の運動部も存在するため、他の運動部とも交渉し、サンプル数を増やす予定である。そしてこの結果を最終年度に学会発表するつもりである。 また初年度に大阪大学医学部整形外科の医師と会合を開き、大阪大学病院に通院もしくは入院する筋疾患患者を対象としてスポーツ関連遺伝子検査を実施するため、今後の研究の協議を行ったが、現在、大阪大学での倫理審査委員会の承認を待っている状態であり、なかなか承認が得られない状態である。初年度に提示した「術後という強制的に筋力低下をきたした状態からの回復への関与:遺伝子型によって筋力回復にどれだけ差が出るかを解析する。サブグループとして、リハビリの強度、内容についての影響なども勘案する」というテーマの解析を行うべく、他の共同研究施設も念頭に置きながら調整を進めて行く予定である。
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Research Products
(1 results)