2012 Fiscal Year Research-status Report
聴覚を介した推進力フィードバックが泳動作に与える影響
Project/Area Number |
24500778
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
市川 浩 福岡大学, スポーツ科学部, 助教 (20375463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田場 昭一郎 福岡大学, スポーツ科学部, 講師 (50309928)
田口 正公 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (80078542)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水泳 / 競泳 / 推進力 / フィードバック / 泳動作 / 圧力 |
Research Abstract |
水泳運動は手腕や足脚で水を後方に動かすことで、前方に進むための推進力を得る。本研究課題は、この推進力の定量化を圧力センサで行い、競泳のトレーニング現場で利用することを想定した推進力聴覚フィードバックシステムを開発するものである。さらにこのシステムを競泳選手が実利用することによる影響を実験的に調査する。水泳中に増減する推進力のフィードバックがパフォーマンス向上に貢献する可能性について議論することで、より高度な泳技能獲得の可能性を開拓することを目的とする。 この目的のために平成24年度は、ヒトの手腕部を模したパドル(円柱に水かき用平板を取り付けたもの)を使用し、水中をストロークさせた際の表面圧力分布計測の結果からパドルが受ける推進力を推定する手法を確立する研究を行った。 パドル表面上において最大8箇所の圧力計測を行い、圧力分布から推定した推進力と、パドルに装着した力センサにより直接測定した推進力との比較を行った。圧力センサ装着箇所および推進力推定のためのモデルを複数通り試したものの、パドル動作によっては、推定した推進力と直接測定した推進力との間に乖離が観察されることがあり、十分な精度での推定手法が確立できていない。使用する圧力センサの数を増やすことも可能であるが、本研究課題はヒトへの装着を前提としたものであるため、泳動作への影響を鑑み、これ以上の増加は避けたい。今後、パドル動作を限定するなどの工夫を加えることで試行錯誤を重ね、十分な推定精度が得られる条件を模索する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は水泳中の推進力の推定を圧力計測を介して行い、推進力聴覚フィードバックシステムを開発するものである。さらにこのシステムを競泳選手が実利用することによる影響を実験的に調査することで、水泳中に増減する推進力のフィードバックがパフォーマンス向上に貢献する可能性について議論することを目的としている。 平成24年度はほぼ当初の予定通り実験を実施したものの、圧力計測による推進力推定手法を十分な精度で確立できていない。さらに試行錯誤を重ねることで、推定精度の向上を目指し、その成果を平成25年度に予定した推進力聴覚フィードバックシステムの開発に組み込む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に実施予定していた「推進力聴覚フィードバックシステム」の開発は当初の予定通り行う。平成24年度中に十分な成果が得られなかった「推進力推定手法の確立」をこれと並行して行う。推進力聴覚フィードバックシステムの開発初期段階ではハードウェアの選定等を優先して行い、推進力推定手法の組み込みは開発の後半とすることで対応する。また、開発したシステムを競泳選手を対象に実利用し、泳中の推進力の大小をフィードバックすることによる泳動作への一過性の影響を調査する。これまでを平成25年度中に実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に予定していた研究動向調査の対象を、近隣で開催された学会としたために旅費の一部が不要となった。また、研究代表者および分担者のみでこれまでの実験を行ったため、実験補助のための謝金を支出していない。さらに水中での使用により消耗することが想定された圧力センサが繰り返しの使用に耐久しており、年度内に追加購入が発生しなかった。これらの研究費は次年度に繰り越して使用することとした。これらは主に、平成24年度に予定した実験を継続して行う際の消耗品購入や実験補助者への謝金にあてる。また一部は研究代表者および分担者が、研究動向調査や成果発表のための旅費にあてる。
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