2014 Fiscal Year Annual Research Report
成長ホルモン及びインスリン様成長因子の受容体発現は運動適応に関与するか
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24500787
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
花井 淑晃 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50360730)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 骨格筋肥大 / GH / IGF-1 / GH受容体 / IGF-1受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、筋肥大時のGH受容体、およびIGF-1受容体の発現調節について検討するために、ラット下肢骨格筋において、共同筋である腓腹筋の切除による、足底筋およびヒラメ筋の代償性肥大処置を行い、その時のGH受容体、およびIGF-1受容体のmRNAレベルの変化を調べた。 被験動物として10週齢のSD系雄性ラットを用い(各群n=6)、麻酔下で左脚のアキレス腱部の皮膚を切開し、腓腹筋内側頭、外側頭の腱を切除した。逆側の足は対照脚とし、皮膚の切開および縫合のみの偽手術を処置した。今回は急性の影響を検討するために、サンプリング日を基準とし、遡って2日前、4日前に手術を行い、それぞれ2日間、4日間の筋肥大処置群として、対照脚と比較した。各筋より細胞内総RNAを抽出し、定量的RT-PCR法を用いてGH受容体、およびIGF-1受容体のmRNA発現量を定量した。 片側の代償性筋肥大処置により、処置側のヒラメ筋、足底筋において、筋重量の増加が見られた。今回の検討では処置後、2から4日とごく初期の適応のために、タンパク増加や筋核増殖を伴う実質的な筋肥大は生じていないと考えられる。肥大筋におけるGH受容体mRNA発現は、ヒラメ筋においては4日、足底筋においては2日、4日、ともに肥大側が対照側に対して有意に発現量の減少がみられた。一方、IGF-1受容体mRNAにはどちらの筋にも有意な変化は認められなかった。 本実験により、骨格筋のGH受容体のmRNA発現は筋肥大初期(2から4日)には抑制される可能性が示唆された。IGF-1受容体のmRNA発現には変化が認められなかったことから、通常、GH-IGF-1軸として機能することにより筋機能、形態を調節するとされるこれら両ホルモンであるが、その受容体の遺伝子発現は、筋肥大時には独立した調節を受けている可能性が示唆された。
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