2013 Fiscal Year Research-status Report
低頻度疲労の特徴とそのメカニズム-カルシウム濃度調節タンパクに着目して-
Project/Area Number |
24500788
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和田 正信 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (80220961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 智 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (70221588)
矢中 規之 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (70346526)
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Keywords | 筋疲労 / カルシウム感受性 / カルシウム放出機能 / リアノジン受容体 / 興奮収縮連関 |
Research Abstract |
平成25年度10月までは,短時間運動における低頻度疲労のメカニズムについて,平成24年度に実施することのできなかった分析を行い,以下の結果を得た.1) 低頻度疲労に伴い,リン酸化したミオシン軽鎖2の量は変化しない.2) 低頻度疲労を起こした筋(以下,疲労筋と記す)では,クロロクレゾールに対する筋小胞体のCa2+放出応答が低下する.3) 疲労筋では,脱リン酸化したリアノジン受容体の量が増加する.4) 単一筋線維をタンパクフォスファターゼと筋ホモジネイトを含む溶液に浸漬すると,リアノジン受容体のカフェイン感受性が低下する. これらは,1) 筋原線維のCa2+感受性の変化に,ミオシン軽鎖のリン酸化は関与しないこと,2) 筋小胞体のCa2+放出機能,とりわけ最大下の放出機能が低下することが低頻度疲労の原因であること,3) 放出機能が低下する素因の1つが,脱リン酸化したリアノジン受容体と筋の構成成分が反応することを示唆する斬新な結果である. 平成25年度11月以降は,a) 短時間運動後の回復期における筋原線維および筋小胞体の機能の変化を経時的に検討すること,および b) 長時間運動に伴う低頻度疲労のメカニズムを検討することを目的とした実験を並行して実施した.a) については,疲労刺激終了24時間後までのサンプルを得た.またb) については,目的に合致した電気刺激の方法を確立するとともに,筋グリコーゲンはリアノジン受容体の機能に直接影響を及ぼさないことを示す結果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度前期における分析の中で,疲労筋では,「筋小胞体のリアノジン受容体に脱リン酸化が生じる」とする,これまで報告されていない新たな知見が得られた.そのため,この現象と筋小胞体のCa2+放出機能の変化との因果関係を明らかにすることを目的とした新たな実験を行う必要性がでたことが,遅れが生じた主な原因である.
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Strategy for Future Research Activity |
前述のa)の分析を平成26年8月までに終了させ,以後b)の実験を実施する予定である.平成26年度は,本研究の終了年度である.実験と並行して,これまでに得られた結果を幾つかの論文にまとめる作業も行う.また,第69回体力医学会および第43回European Muscle Conferenceにおいて,研究成果を発表することも予定している.
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Research Products
(7 results)