2012 Fiscal Year Research-status Report
グリコーゲンローディングが筋疲労後の回復過程に及ぼす影響
Project/Area Number |
24500795
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hachinohe University |
Principal Investigator |
三島 隆章 八戸学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00461707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 正信 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (80220961)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グリコーゲン / 筋疲労 / 回復 |
Research Abstract |
ラットを対象としたグリコーゲンローディングの方法を確立するため,グルコース溶液を経口投与する方法を用い,筋中グリコーゲン含有量を調べた.Wistar系雄性ラット(n = 24)を疲労困憊に到る走運動を行わせずに通常食を摂取させる群(SE-CON),疲労困憊に到る走運動を行わせずにグリコーゲンローディングをさせる群(SE-GLY),疲労困憊に到る走運動後に通常食を摂取させる群(EX-CON),疲労困憊に到る走運動後にグルコーゲンローディングをさせる群(EX-GLY)に分けた(各群n = 6).EX-CON群およびEX-GLY群に低強度長時間走運動を課した直後,EX-GLY群,SE-GLY群に50% (wt/vol)グルコース溶液を1 ml経口投与した.さらに24時間後および48時間後にもグルコース溶液を1 ml経口投与した.72時間後に腓腹筋表層部(GS),腓腹筋深層部(GD)およびヒラメ筋(SOL)を摘出し,筋中グリコーゲン含有量を測定した結果,GSにおいてSE-CON 群と比べSE-GLY群の方が約30%高い値を示した.したがって,運動を組み合わせなくてもグルコース溶液を経口投与することで,筋中グリコーゲン含有量が増加することが示された. さらに,Wistar系雄性ラット(n =16)をグリコーゲンローディング群(GLY),絶食群(GE)の2群に分け,GLY群に0時間,24時間後および36時間後に50% (wt/vol)グルコース溶液を1 ml経口投与し,GE群は0時間から解剖まで絶食させた結果,GS,GDともにGE群と比べGLY群のグリコーゲン含有量の方が約10%高い値を示した. よって,グルコース溶液を経口投与することで,グリコーゲンローディングが筋疲労後の回復過程に及ぼす影響について検討することができることが確かめられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画では,疲労困憊に至る運動後に高炭水化物食を摂取する方法を用いグリコーゲンローディングを行う予定であった.しかしながら,高炭水化物食を配合し調達するには時間や経費がかかること,また疲労困憊に至る運動を負荷した場合,筋機能が回復するためには72時間程度時間を要することから,先行研究に基づきグルコース溶液を経口投与する方法の妥当性について検討を行った.先行研究においてラットを対象にグリコーゲンローディングを行った調べた結果,グリコーゲンローディングによって筋中グリコーゲン含有量が約30%~50%増加することが認められていた.本年度に実施した実験により,グルコース溶液を経口投与する方法で約30%筋中グリコーゲン含有量が増加することが確かめられたことから,グルコース溶液を経口投与する方法を用い,後の実験を行うこととした. 実験計画では,平成24年度に疲労後の回復過程について検討を行う予定であったが,グリコーゲンローディングの方法を確立するに留まった.一方,in situの条件下で発揮張力を測定する方法はすでに確立していることから,今後の実験はスムーズに進行すると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画では,筋疲労を誘起する方法として疲労困憊に至る走運動を予定していた.しかしながら,走運動では筋疲労の程度を厳密にコントロールすることが困難なため,in situの条件下で坐骨神経に電気刺激を加えることで,発揮張力の初期値に対する割合をモニタリングすることによって,疲労の程度をコントロールすることができると考えられる. 平成25年度では,グリコーゲンローディングが筋疲労の回復過程に及ぼす影響について,発揮張力および筋小胞体の機能に着目して検討を行う.ラットをコントロール群,グルコース溶液を経口するグリコーゲンローディング群に分ける.グリコーゲンローディング終了後にin situの条件下で坐骨神経に電気刺激を加えることで筋疲労を誘起する.疲労刺激終了直後,2時間,12時間,24時間,48時間に麻酔下にてin situの条件下で坐骨神経に40,60,80および100 Hzの電気刺激を1秒間加え,腓腹筋の発揮張力を測定する.もう一方の脚より腓腹筋を摘出し,グリコーゲン濃度および筋小胞体の機能を測定する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラットの飼育および解剖は八戸学院大学において実施できない.よって研究分担者である広島大学和田正信氏がラットの購入および飼育を行うため,ラットの購入や餌等飼育に経費を要するため,分担金を送付する予定である.ラットの解剖および筋中グリコーゲン含有量の測定は広島大学総合科学部で実施することから,旅費および宿泊費が必要となる.筋小胞体の機能の測定は,八戸学院大学基礎医学実習室で実施可能となったことから,実験に必要な器具や消耗品(試薬,チップ,チューブ)を購入するための物品費が必要となる.
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