2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500804
|
Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
緒方 知徳 広島修道大学, 人間環境学部, 准教授 (30434343)
|
Keywords | 筋萎縮 / 絶食 / 除神経 |
Research Abstract |
絶食時において遅筋に比べ速筋で萎縮が顕著である。この要因を明らかにするべく、収縮活動や神経活動頻度の違いに着目した。本年度は、ラット下肢の除神経により神経活動が低下した筋が除神経を行っていない筋に比べて、絶食に対する応答に違いが認められるかどうかを検討した。 実験にはFischer系の雄ラット(8週齢)16匹を用いた。除神経は、麻酔下でラットの左脚の坐骨神経を部分的に除去することで行った(右脚は切開のみ)。その後、1週間の切開部の回復期間を経て、8匹のラットに対して48時間の絶食(Fasting群)を施した(飲水は自由摂取)。残りの8匹のラットは餌を自由摂取(Fed群)とした。絶食期間後、すべてのラットのヒラメ筋、足底筋を麻酔下で摘出した。 2日間の絶食に伴う筋重量の変化を比較すると、除神経を行っていない非除神経脚のヒラメ筋重量において、絶食により4.2%の減少が認められた。一方、除神経を行った左脚ヒラメ筋では絶食によって8.3%の減少が認められた。足底筋の重量は、非除神経脚で11.2%の減少であったのに対し、除神経脚では9.5%の減少であった。これらの結果は、特にヒラメ筋では除神経に伴う神経活動低下により絶食時の萎縮の進行が顕著となるであろうことを示唆するものであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
速筋でなぜ絶食時の筋萎縮が遅筋と比較して顕著なのかを明らかにするために、本年度は除神経によって神経活動を遮断した場合の遅筋と速筋の絶食時応答を検討した。収縮活動頻度が絶食時の筋萎縮に関連するという仮説のもと本実験を行ったが、これを支持するように、日常的に収縮活動レベルが高いヒラメ筋が除神経を受けると、絶食時の萎縮レベルが高まるという結果が得られた。足底筋への影響が低いこともこの仮説を支持するものといえる。 一方で、この萎縮レベルの変化を決定する分子レベルの因子についてはまだ明らかと出来ていないため、来年度の研究においても引き続き検討を加えていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
絶食時の速筋優先的筋萎縮の原因と仮説立てられる、筋活動と萎縮の関連性をさらに明らかにすることを目的として、今後の研究ではギプス固定による骨格筋の機械的負荷を抑制した場合(本年度は神経活動を遮断するモデルであった)に、絶食に伴う筋萎縮応答に変化が認められるかどうかを明らかにする予定である。 実験にはFischer系雄ラットを用いて、ラット下肢片脚をギプス固定する。固定後、48時間の絶食(飲水は自由)を行い、ヒラメ筋と足底筋を摘出する。分析は、タンパク質の合成・分解経路に関する因子をウエスタンブロッティングを使って検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、分析用に高額の高感度ケミルミ撮影装置を設置するために前倒し請求を行ったが、予定より装置を安価で購入することができたのでその分の残額が生じることとなった。 次年度は、この残額分を含めて分析にかかる実験動物および試薬購入を中心とした研究費の使用を計画している。
|
Research Products
(2 results)