2014 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの覚醒水準を高める朝の身体活動プログラムの開発
Project/Area Number |
24500808
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
野井 真吾 日本体育大学, 体育学部, 教授 (00366436)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小学生 / 覚醒水準 / フリッカー / 棒反応 / go/no-go課題 / 身体活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,子どもの日中の覚醒水準を高めるために小学校現場で実現可能な朝の身体活動プログラムを開発することを目的としている.本研究により得られた知見は,以下の通りである.1)覚醒水準の指標としての棒反応測定の信頼性と妥当性を検討した結果,最大値と最小値を除く3測定値間に大差がみられず,そのICCは0.658と中程度の検者内信頼性が示された.加えて,フリッカー値と棒反応値との間には有意な負の中程度の相関関係が認められた一方で,10分間の走行運動による両測定値の変化率はフリッカー値よりも棒反応値の方が大きい者が有意に多い様子も示された.このような結果は,フリッカー測定に比べて棒反応測定の方が覚醒水準をより鋭敏に捉えていることを示唆していると考えられた.2)種々の朝活動が小学6年生の覚醒水準に及ぼす影響について検討した結果,静的活動日に比して動的活動日の棒反応値の変化率が有意に高値を示した.併せて,「楽しい」と感じる活動はそれ以外の活動に比べて,棒反応値の変化率が有意に高値を示す様子も示された.このような結果は,子どもの覚醒水準を高めることを目的とした朝の身体活動プログラムの開発に際しては,一定の身体活動量を確保しつつ,子ども自身の主体的な活動が必要であることを示唆していると考えられた.3)小学生における高次神経活動と生活状況との関連を検討した結果,登校後に10分間以上の身体活動を実践している者および朝の身体活動プログラムを実践している学校では,近年心配されている「不活発型」や「興奮・抑制型」の割合が有意に低値を示す様子が示された.このような結果は,10分間程度の朝の身体活動プログラムでも子どもの覚醒水準を高める可能性を示唆していると考えられた.以上のことから,子どもの日中の覚醒水準を高めるためには,「子ども自身が楽しめる主体的な朝の身体活動の実施」が有効であるとの結論に至った.
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