2013 Fiscal Year Research-status Report
非正規雇用女性に対する包括的乳がん・子宮頸がん検診啓発の費用対効果分析と波及効果
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24500814
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
宮松 直美 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90314145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 智教 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00324567)
盛永 美保 滋賀医科大学, 医学部, その他 (60324571)
田中 英夫 愛知県がんセンター(研究所), その他部局等, 疫学予防部部長 (60470168)
目片 英治 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80314152)
志摩 梓 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (20635958)
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Keywords | がん検診 / 受診勧奨 / 啓発 / 介入研究 / 無作為化 / 産業保健 |
Research Abstract |
平成に25年度は昨年度開発した乳がん検診受診勧奨マンガ冊子「まさか私が乳がんに!?」(全21ページ)に加えて、調査対象企業の補助金精度に関する情報を加えた受診勧奨パンフレット「女性がん健診利用補助金のご案内」を作成した。対象企業事業所(約90カ所)を4群(A群:非介入群、B群:マンガ冊子群、C群:チラシ群、D群:マンガ冊子+チラシ群)に分類し、開発された啓発媒体を用いて各群に対して平成25年5月から啓発介入を実施した。その後、平成26年1~3月の定期健康診査時に、平成24年度と同様の「女性特有のがん(乳がん・子宮がん)に関するアンケート調査を4686名の女性従業員を対象に実施した。 調査票は、4464名から回収された(回答率:95.3%)。企業本部所属者、移動・新規雇用者、未成年者を除いた対象者は4010名であった。平均年齢は48.3±11.1歳、うち乳がん既往者は2.9%、乳がんの家族歴を有するものは7.9%、卵巣もしくは子宮疾患の既往者は20.7%であった。「乳がん検診を受ける間隔はだいたいどのくらいですか」(1年ごと・2年ごと・3年ごと・その他からの単一選択)に対して1年ごともしくは2年ごとと回答したものを「乳がん健診の定期的受診あり」と定義し、その頻度を群間で比較したところ、A群82.5%(929/1126)、B群85.1%(748/879)、C群:86.8%(776/894)、83.0%(922/1111)とであった。各啓発媒体の曝露状況については、マンガ冊子は介入群の約55%、チラシは約40%に認められている一方、非介入群ではいずれも2~12%と低かった。 介入で用いた各啓発媒体は対象者の記憶によく留まっており、関心を持って読まれた可能性が示唆された。今後は介入前後の比較とともに、レセプトデータとの突合を行い、がん検診以外の受療行動との関連を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年後に引き続き啓発媒体を開発した。さらに、同一企業従業員の無作為割り付けによる介入研究であるため、企業内従業員への情報提供に関する格差を解消するために啓発媒体の増刷を行い、介入後調査終了後に配布できるよう準備を行った。 また、平成26年1~3月に実施した介入後調査により、本申請課題により開発・作成された各啓発媒体はいずれも対象者の記憶によく留まっていることが示された。これまでの他の啓発介入によると、各啓発媒体を「見た」と回答したものは2~3割程度であることから、本申請課題で開発された啓発媒体が特に対象者である女性従業員に関心を持って読まれた可能性が示唆された。 また、調査対象企業の健保組合の協力により、レセプトデータも突合可能な形に整理されており、次年度には調査票データ・健診データに加えてレセプトデータの突合が完了し、研究課題の一つであるがん検診受診勧奨に関する啓発の他の受療行動(高血圧、耐糖能異常指摘者の健診後の受診など)の分析が可能となる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時には、啓発介入を平成25年度、介入後調査を平成25年1~3月、その後の分析を平成25年度中に実施する予定であったが、調査対象企業および協力健診団体の事情により1年遅れの実施となった。しかしながら、介入後調査のデータ入力等を本年度3月までに完了したことで、大きな遅れなく平成26年度に申請課題の解析にかかることができることとなった。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査対象会社でのレセプトデータの整理に時間を要し、その突合が平成26年度になったため。 平成26年度には、レセプトデータを含む介入効果の検討を行い、その成果を公表する予定であり、そのための費用として計上した。
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Research Products
(2 results)