2013 Fiscal Year Research-status Report
チェルノブイリ研究成果のメタ分析活用による福島原発周辺住民の心理的不安へのケア
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24500820
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高橋 純平 長崎大学, 国際連携研究戦略本部, 助教 (50574026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 昇 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30295068)
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Keywords | 国際研究者交流 / ウクライナ / ベラルーシ / チェルノブイリ / リスクコミュニケーション |
Research Abstract |
昨年度および今年度前半におこなったロシア語原文の論文検索によって、本研究の目的であるメタ解析を行うためのデータがどうしても足りないことが判明した。検討の結果、チェルノブイリ被災エリアで発行されている放射能汚染地域に暮らす住民のための冊子などの資料を収集・翻訳し、その中から福島県住民の放射線事故後の影響に関する心理的不安を解消するのに寄与すると思われる情報を選定し、提供する方針とした。ベラルーシ・ウクライナにおいて発行されている約20冊の資料を収集し、ベラルーシ・ウクライナの社会心理不安の専門家とコンサルテーションしながら、そのうちのもっとも有用とみなされる数点の翻訳作業が行われている。 福島原発事故後の混乱は事故後3年経過してもなおいまだ継続しており、その中でも現実的な健康影響の側面より、科学的根拠の有無があいまいな情報過多による社会心理不安の側面が深刻である。この問題はまさしくチェルノブイリ事故後、被災地域の社会が経験した問題であることは、多くの研究者によって語られている。 長崎大学は福島県川内村に復興推進拠点を設けており、その拠点を通じて住民の不安解消のためのリスクコミュニケーション活動を継続的に行っている。その活動に今後この研究で得られるチェルノブイリ原発事故の社会心理不安を克服する経験をいかに活用していくかについて、実効力のある方法論が検討される。すでに「放射線・放射性物質Q&A」という小冊子も発行しているが、それらの活動に際しチェルノブイリ被災エリアからの情報も有益に活用されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタ分析のための資料不足は判明したが、チェルノブイリ被災地住民のための冊子、パンフレットなどの資料収集は順調に進んでおり、福島原発周辺住民の心理的不安解消のための活動に資する情報を、それら資料から提供できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もチェルノブイリ被災地域で発行されている文献を調査し、その中から福島原発被災地域での心理的不安解消とメンタルヘルス向上に有益とみなされる情報を精査し、翻訳作業を継続する。 住民の不安解消への指針としての小冊子「放射線・放射性物質Q&A」の続編を継続発行する。長崎大学川内村復興拠点を中心にリスクコミュニケーション活動を継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ベラルーシ渡航一回分が、長崎大学ベラルーシ拠点予算による支出に切り替えられたため。 次年度にベラルーシおよびウクライナへの調査のための渡航を一回増やし、福島への訪問も予算に応じて予定より1~2回増やす。
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