2012 Fiscal Year Research-status Report
沖縄の小中学生の学力向上に向けた睡眠介入研究―コホート研究と睡眠脳波実験の併用―
Project/Area Number |
24500821
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
笹澤 吉明 琉球大学, 教育学部, 准教授 (50292587)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 睡眠 / 学力 / 疫学調査 / 睡眠脳波 / 介入研究 |
Research Abstract |
サンプリングし協力の得られた沖縄県内の公立の小学校3校4年生275名(介入校2校、対照校1校)、中学校4校1年生886名(介入校1校、対照校3校)の児童生徒を対象とした。9月と12月に国語と算数(数学)の学力テストと質問紙調査を行った。自記式質問紙は記名であり、質問項目は、主観的学力、学習習慣、運動習慣、睡眠習慣、食習慣、メンタルヘルス等で構成されている。9月より介入校には月に1度の睡眠教育授業と、毎日継続してもらう睡眠日誌を介入した。授業は15分程度で朝のホームルームの時間に学級単位で行った。内容は睡眠の概念、睡眠構築、睡眠と栄養等である。睡眠日誌は、1枚2週間分の就寝・起床時刻を結んで横棒でグラフ化してもらい、視覚的に睡眠位相が見えるものである。食事時刻のチェックや睡眠習慣に対する目標、その達成度や睡眠の満足度等も記入させ行動変容を促した。得られたデータをSPSSにて解析した結果、介入校は対照校に比べ、睡眠習慣の改善がみられ、国語、算数、社会の学力の向上がみられた。 また、大学生10名に、上記と同様な睡眠教育や睡眠日誌の介入を1ヶ月間行い、介入前後の学力や質問紙調査の項目の変化を解析することに加え、客観的睡眠指標である睡眠脳波測定の結果も介入前後で解析した。これは、小学生と中学生の協力を得られなかったためである。対照群である6名の学生と比較した結果、学力の向上は見られなかったものの、介入群は睡眠効率の増加や中途覚醒の減少が見られた。 この内容の一部は日本睡眠学会等で発表した。また、睡眠と学力のシンポジウムを2月に開催し、県内の教育関係者や保護者に睡眠の大切さを伝えた。12月以降も介入校は引き続き、睡眠教育と睡眠日誌の介入を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
協力校は当初の予定よりも小学生でやや少ないが、ほぼ研究計画通り調査や、睡眠介入を行なうことができた。 小学生や中学生の睡眠脳波実験を行ないたかったが、協力が得られなかったので、大学生に対して睡眠介入前後の睡眠脳波実験を行ないそれを代替えした。 睡眠介入による学力の向上は特に小学生に見られ、シンポジウムを通して、県内の教育関係者や保護者より注目されている。一部はテレビ報道もされた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の協力校に対しては引き続き睡眠介入研究を継続してゆく。他の小学校や中学校からの研究依頼があるので、ダイナミックコホートの手法で研究を進めてデータを安定させる可能性もある。小学生や中学生の協力者を募り、睡眠脳波指標の介入効果を明らかにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費2万円、旅費17万円、人件費・謝金3万円、その他で8万円を見込んでいる。
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Research Products
(4 results)