2013 Fiscal Year Research-status Report
沖縄の小中学生の学力向上に向けた睡眠介入研究―コホート研究と睡眠脳波実験の併用―
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24500821
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
笹澤 吉明 琉球大学, 教育学部, 准教授 (50292587)
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Keywords | 睡眠 / 学力 / 疫学調査 / 睡眠脳波 / 介入研究 / 睡眠介入プログラム / 睡眠教育 |
Research Abstract |
昨年度よりコホート研究及び睡眠プログラム介入研究を行っている小学校3校(5年生)275名(対照含む)、中学校4校(2年生)886名(対照含む)の児童生徒に対して調査を継続している。介入校に対しては、毎月1回の睡眠教育と毎日の睡眠日誌の記録及びそのフィードバックである。介入校対照校共に、7月と3月の2回にわたって、追跡の質問紙調査を行った。睡眠教育の教材は睡眠のメカニズムや生理に関するもの4単元、睡眠の環境に関するもの2単元、睡眠と他の生活習慣との関連について2単元、まとめ1単元と新たに9単元行った。睡眠日誌は1か月毎に回収し、全てに赤ペンでコメントを書き、評価のスタンプを押して励ましやアドバイスのフィードバックを行った。これらの介入の結果、睡眠行動の改善、他教科に亘る学力の向上、メンタルヘルスの改善が見られた。 また、短期的ではあるが、新たに別の中学2年生約100名に対して、「協調学習」の手法で睡眠教育を行い、睡眠の質の改善を縦断的研究で明らかにした。この学習方法は、生徒同士が調べ学習し互いに教え合うグループ学習で、その有効性が確認できた。 睡眠脳波実験を小中学生対象に行いたかったが、同意が得られず、今年度も実現できなかった。しかしながら、昨年度に大学生を対象とした睡眠脳波研究は終了しており、睡眠脳波指標の睡眠教育介入による改善は確かめられている。 結果の一部は日本学校保健学会にて発表した。また、「寝る子はでぃきやーないんどー」と題した「睡眠改善による学習効果」についての講演会を17回行い、養護教諭のための、「睡眠改善プログラム」についてのセミナーを3月に行い、多数の参加者があった。これらの養護教諭の一部は、本研究の睡眠教育の実践を行う予定である。 これらの実践や解析結果を単行書にまとめ、現場で使える睡眠教育のマニュアルを作成しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、3年計画で睡眠介入研究を行なっており、現在まで途切れることなく介入校に対して睡眠教育プログラムを実践できている。また、そのコンテンツも順調に作成でき、今後まとめる睡眠介入プログラムのマニュアル本作りに役立つ資料が蓄積できた。 また、沖縄県内は言うまでもなく、NHKなどの全国版のマスコミにも本研究の一部が取り上げられ、取り組みが注目されてきた。介入校の睡眠行動の改善や、学力の向上も見られる。平成26年度の日本睡眠学会において、シンポジウム「教育現場における児童・青年期の睡眠への取り組み」のシンポジストとして本研究を発表することができる。現在沖縄県の教育委員会とタイアップして本研究を発展させている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の10月まで介入を継続する。これまでのデータを含め、足掛け3年にわたる睡眠介入の学力への影響を分析し、内外の学術雑誌に投稿する。また、児童・生徒への睡眠教育プログラムのマニュアル本を作成し、沖縄県内の小中学校に活用していただく。マニュアル本にはeラーニングできるDVDを付属することも検討している。特に睡眠日誌においては、被験者も験者も負担が大きいことから、電子化したアプリケーションの作成を検討したい。また、可能であれば、子どもたちの睡眠脳波指標のエビデンスも追加したい。
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Research Products
(5 results)