2013 Fiscal Year Research-status Report
身体-精神疾患の相互メカニズムに関する代謝内分泌学的研究
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24500826
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
福田 早苗 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50423885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長見 まき子 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 准教授 (10388663)
小山 英則 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80301852)
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Keywords | 疲労 / うつ病 / 代謝内分泌疾患 |
Research Abstract |
1.代謝内分泌疾患患者での検討:兵庫医科大学に登録されている患者357名のうち、心血管イベントの既往がなく、睡眠、疲労、アクティブトレーサーを用いた自律神経解析及び、血漿BDNF値等が評価可能であった150人を対象に解析を行った。BDNF(Brain-derived neurotrophic factor)は、自律神経機能調節作用と、心筋リモデリングへの関連が報告され、24時間の心拍変動から得られる自律神経機能の低下が心血管イベントの発症と関連しうることが報告されている。結果、BDNFはLF(Low Frequency)と強い関連を示したが、疲労や睡眠の自覚症状との関連は認められなかったが、疲労はLFと負の相関を示す傾向にあり、この関連が間接的に心血管イベント発症に関与する可能性が示唆された。 2.うつ病患者での検討:うつ病患者での今年度の新規エントリーは実施できていないが、蓄積した復職希望のうつ病患者のデータのうち睡眠-身体活動レベルの解析を実施した。 3.職域における疲労と心身疾患の発症に関連する追跡調査:A市職員を対象に2011年度から2013年度の定期健康診断に併せて調査を実施した。対象は健康診断を受診したものの中から調査の実施に同意し、質問票回答及び自律神経機能調査を行った全症例である。3年間の追跡可能な症例60例(男性54例/女性6例)を開始年の疲労有無で2群に分け、経時的な変化を検討したところ、メタボリック症候群の該当者数の増加がみられた。 4.新規フィールド開発 :今後の研究につなげるために、乳幼児・母子などの新規調査研究フィールドを開発した。特に母親の疲労・ストレスはその後の児童虐待につながるリスクファクターとして注目されており、その関連の検討を今後内分泌・神経機能含めて検討し、予防に努めることは極めて重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代謝内分泌疾患コホート(Hyogo Sleep Cardio-Autonomic Atherosclerosis Study:HSCAA study)及び職域コホートはおおむね順調に研究が推移している。 代謝内分泌疾患コホートは、既に登録が300名を超え、順調に症例数を増やしており、当該年度には学会発表を実施した。 一方、職域コホートは、3年目を経過したが、毎年100名程度の参加しており、3年間の追跡率は6割と、転出や定年での退職などがあることを考慮すると高い追跡率を誇っている。今年度は中間解析を実施し、学会発表も行う予定である。 復職支援対象のうつ病患者においては、今年度新規のエントリーは行わず睡眠・活動リズムの解析を行った。その結果、活動度は、成人の同世代とほぼ同等程度まで回復していることが明らかとなった。 特筆すべきは今後の研究につながる新規フィールド開拓であり、このような類の研究ではフィールドの開拓は重要事項であるが、今年度、関西地方の地域集団の母親及び抽出サンプルではあるが関東地方の母親の集団での母親の健康とその子どもの健康状態を検討可能なフィールドを開拓することができた。これは、今後、今までの結果を展開するために非常に重要な成果であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
代謝内分泌疾患コホート(Hyogo Sleep Cardio-Autonomic Atherosclerosis Study:HSCAA study)及び職域コホートはおおむね順調に研究が推移している。 代謝内分泌疾患コホートは、さらにエントリー数を増やし、国際誌に発表可能なデータとして仕上げる予定である。 一方、職域コホートは、次年度4年目を迎え、コホートそのものは5年目までであるので、次年度は最終年度につながる非常に重要なポイントを迎える。追跡率の現状維持ができるかが1つ重要な課題である。 復職支援対象のうつ病患者においては、次年度は、今年度の解析結果をもとに、新規のエントリーを行い、再びデータを蓄積することを行うとともに、今年度の成果を学会などで発表することを目指す。 次年度は、内分泌指標や神経生理評価が実施可能なフィールドを増やすことを目標にフィールド開拓を続けるとともに、疲労が身体疾患にもつながるリスクファクターであった場合、その緩和策をどのように考えればいいかについて更なる検証を進めることを目指す。また、身体ー精神の相関についてデータを総合的に検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は最終年度であるので、研究のまとめおよびその発表に費用が必要であるためと、フィールド調査での人件費を予定しているため。 物品費:解析関連消耗品100000円、旅費:30000円、人件費・謝金:105332円、その他(論文等投稿関係含む):60000円
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Autonomic function is associated with health-related quality of life in patients with end-stage renal disease: a case-control study2013
Author(s)
Fujii H, Koyama H, Fukuda S, Tokai H Tajima S, Koizumi J, Yamaguti K, Kuratsune H, Watanabe Y, Hirayama Y, Shoji T, Inaba M, Nishizawa Y
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Journal Title
Journal of Renal Nutrition
Volume: 23
Pages: 340-347
DOI
Peer Reviewed
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