2013 Fiscal Year Research-status Report
SMARPPの実践における課題の明確化に基づく実践ガイドの画策に向けて
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24500838
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
近藤 千春 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (60331576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 貴子 椙山女学園大学, 看護学部, 助手 (20599435)
松本 俊彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, その他 (40326054)
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Keywords | SMARPPの実践 / ガイドブック / 動機づけ面接 / Moodle |
Research Abstract |
平成25年度においては、「SMARPP」の実践における課題の明確化に基づく実践ガイドの画策のために、SMARPPを導入している保健医療機関に対し実態調査を行いその結果をまとめた。調査にあたってはあらかじめ共同研究者より各機関に調査協力の可否について打診をはかり、協力の意思表示があった36施設を対象に行った。調査は実施施設を対象にした「施設調査」と実施スタッフを対象にした「スタッフ調査」の2種類の調査を実施した。36施設のうち26施設より調査票が回収され、165名からの回答を得ることができた。その結果の一部は、平成25年度中に開催された、日本アディクション看護学会、日本アルコール・薬物医学会、日本病院・地域精神医学会で発表した。 調査によって得られたSMARPP実施スタッフからの回答のうち、自由記載欄の「対応に困る参加者からの質問」「対応に困る参加者の態度」「SMARPPを進める上で困っていること」については、内容を共同研究者らと吟味した上で対応例を考え「SMARPPの実践のためのガイドブック」としてまとめ、研究協力機関に配布し活用を勧めた。 ガイドブックの対応例は、回答者が「対応が困難」だとして回答した場面の表現を可能な限りそのまま引用した。また、動機づけ面接の技法を取り入れた依存症患者への対応の例を示した。この他、ガイドブックで取り上げることのできなかった多くの「対応に困った」場面については、それらへの対策の手立てとして、e-learningのMoodleを活用したWeb上での情報交換のシステムを構築し運用を行っている。本システムへの参入は匿名性を保持し、登録希望者が所属機関を通してE-mailアドレスのみを提出し、研究者の所属機関で登録する形式をとった。平成26年度はガイドブックの活用状況を調査し把握すると共に、Moodleを利用したシステムの有効的な活用が課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SMARPPの実践における課題の明確化については、調査票による調査から実施スタッフが抱える様々な問題点を抽出することができた。特にガイドブック作成に使用した調査協力者からの回答は、SMARPPを実践する当事者が抱えている現状であり、それらへの対応策がSAMRPPの実践のためのマニュアルとなるものであった。これらの質的なデータの取り扱いについては、内容分析にかなり多くの時間を要することになった。しかし一方では、多くの時間をかけたことによりガイドブックの作製において妥当な項目を採用することができたと評価している。 ところがガイドブック作成に採用した回答は一部であり、SMARPPを実践するスタッフが抱える問題に対応できる実践的なガイドブックとして十分ではないと評価した。そこでこれを補完する方法の検討を行った。この中で教育機関で導入されているe-learningシステムの活用が浮上した。この導入は当初の計画にはなかったが、研究協力者が別の研究で導入していたことや、研究者の所属機関で学生の教育に導入されており、システムに詳しい者の協力を得て導入した。これによりSMARPPの実践のために有用なガイドブックの画策へと具体的に研究を進めることができた。 また、ガイドブック作成時、対応困難な質問や態度への対応方法を検討する中で、動機づけ面接法における「抵抗」への対応のスキルを活用することが有効である点を文献より得たことにより実践的な内容を提示できたと評価している。 課題としては、ガイドブックがどの程度有効に活用されているのか情報収集を図り、改善が必要かどうか検討することが必要である。また、Moodleについては、当初計画にはなかったが、ガイドブックの内容を補完するものとして位置づけていることから、今後有効な活用方法について検討していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「SMARPPの実践のためのガイドブック」活用状況についての調査:先の調査で協力が得られた施設の中から訪問が可能な施設を選抜し、参与観察の目的でSMARPPのミーティングへ参加を計画する。また、その訪問において施設代表者よりガイドブックの活用状況について可能な範囲で聞き取りを行い、改善を必要とする点について情報収集する。 2.訪問調査によるSMARPPの実践における課題の明確化:調査票による調査では得られなかったSMARPPを実践する上で解決を必要としている問題の有無について、SMARPP実施施設のSMARPPの窓口となっている代表者より情報を得る。この調査によってSMARPPの実践における課題をより明確化させたい。また入手できた情報を参考にガイドブックを見直し、追加や修正が必要であれば検討する。 3.Moodleの有効活用:ガイドブックの補助的なツールとして、MoodleによるSMARPPのe-learningシステムを構築した。しかし現在十分に活用がされていない。その理由について今後情報収集する。情報収集の方法の手順として、訪問調査の際にWebを利用したSMARPPの実践のための情報交換についての受け入れ状況についての情報収集を図る。その上で、SMARAPPを実践するスタッフがMoodleを活用した対応困難な場面への対応策を見つけ出すことができるか等、Moodleによるe-learningシステムの実用化が可能かどうか検討を行う。 4.SMARPP実践における集団凝集性についての評価:SMARPPの実践による依存症患者の回復を支援する上で、依存症の当事者活動での集団凝集性に類似した集団の凝集が起きることが有用であると考えている。訪問調査、参与観察によりグループ中のスッタフの介入と参加者の反応等について情報を整理し、グループ凝集性を左右させる要因との関連について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.作成したガイドブックの活用についての訪問調査:昨年度研究協力機関に配布したガイドブックの活用について評価が必要である。①対応が困難な場面の対処方法を得るための道具として役立っているか。②参考になっている点は何か等を中心に、聞き取り調査を実施し評価する。訪問調査のための旅費が必要である。 2.実態調査の結果の報告:これまでの調査の結果をまとめ、論文として公表すると共に、調査協力施設に対しても報告書を提出する。論文の掲載費用や研究協力施設への送料が必要である。 3.Moodleの利用によるSMARPP実践に必要な情報の活用普及の可能性の検討:Moodleの活用がSMARPPの実践にとって有効な手立てとなりうるか情報収集を図り、普及させることの有用性について文献等による検討を行うための費用が必要。 1.調査旅費:直接経費80万円のうち研究代表者が50万円、分担研究者が30万円の配分となっている。研究代表者は調査のために60%を使用する予定である。分担研究者においても多くは調査旅費として使用する計画である。この他論文の掲載の費用として15%程度を予定にしている。他は送料及び消耗品や文献等に使用する予定である。 2.Moodleの活用に関する検討 今後、ガイドブックの活用と合わせMoodleによる情報の活用や学習等を積極的に奨励していきたい。このためMoodleの臨床教育における教材としての活用の方法について情報収集を図るための文献の取り寄せや購入等の費用として5%は確保したい。
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Research Products
(3 results)