2014 Fiscal Year Annual Research Report
高齢買い物弱者と低栄養との関連の検討に基づく食教育とその評価
Project/Area Number |
24500843
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
木村 安美 福山大学, 生命工学部, 教授 (00552415)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渕上 倫子 福山大学, 生命工学部, 教授 (60079241)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 低栄養 / 買い物弱者 / 介護予防 / 食料品アクセス |
Outline of Annual Research Achievements |
食料品の購入に不便や困難を感じる「買い物弱者」が高齢者を中心に増加し、社会的な課題となっている。そこで、高齢者の買い物状況および食生活の実態を明らかにし、食生活面からの支援の方向性の検討と有効性の検証を行った。
調査参加者250名のうち、食事内容に影響する現病歴・既往歴のない60歳以上の女性196名を解析対象者とした。「買い物に不便を感じている」者を「買い物弱者」と定義し、栄養摂取状況との関連を検討した。買い物弱者の割合は22名(11%)であった。平均年齢は非買い物弱者70.9歳に比較し、買い物弱者では75.1歳と有意に高値を示した。食事摂取基準2010を用いて推定平均必要量(EAR)Cut-Point法に基づく栄養素摂取量分布の評価を行った。非買い物弱者よりも買い物弱者の方が不足者の割合が高い栄養素として、60-69歳ではたんぱく質(10%)、レチノール当量(25%)、70歳以上ではカルシウム(25%)が挙げられた。調査結果をもとに、行政機関との連携により介護予防教室の調理実習献立として低栄養・介護予防メニューを立案し、食教育とメニューの普及(教室の実施回数203回、参加人数4436名)を行った。さらに、買い物状況を考慮した「家庭にある食材を使った簡単おいしいレシピ集」(計38品)を作成し、広く地域住民に配布した。活用状況調査の結果、掲載された料理を実際に作った者の割合は71%を占めた。
買い物弱者は特に都市的地域において増加が想定されている。そのため、食材の配達や移動販売等、流通面からの支援の取り組みが始まっている。しかしながら、買い物弱者の栄養状態の把握や食生活面からの支援については未解決である。したがって、都市的地域の高齢者を対象に栄養・食生活の調査結果をもとに買い物状況を考慮した食教育・メニューの立案・普及活動を展開した本研究成果は、介護予防に貢献できると考えられる。
|
Research Products
(4 results)