2012 Fiscal Year Research-status Report
メタボリック症候群と酸化ストレス:新規ポリフェノールによる予防改善効果の研究
Project/Area Number |
24500846
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
石幡 明 山形大学, 医学部, 教授 (40232326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野 由美 山形大学, 医学部, 名誉教授 (70018696)
伊藤 恒賢 山形大学, 医学部, 助手 (80241719)
高梨 あさき 山形大学, 医学部, 非常勤講師 (60567361)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / メタボリック症候群 / 中性脂肪 |
Research Abstract |
メタボリック症候群における中性脂肪(TG)の関与については不明な点が多い。本研究では、新規に開発した遺伝性高中性脂肪血症モデル兎を用いて,メタボリック症候群における高中性脂肪血症の役割とその機序,植物ポリフェノールのひとつであるピセアタンノール誘導体による抗酸化ストレス療法による予防.改善の可能性を追究する. 本年度は (A)メタボリック症候群での動脈硬化進展と食後高中性脂肪血症との関連,(B)メタボリック症候群での酸化ストレスの関与,を明らかすることを主な目的とした.動脈硬化進展の病理学的評価では,1.大動脈のパラフィン切片を作製し,ヘマトキシリンーエオシンおよびエラスティカーマッソン染色により内膜肥厚,線維化や平滑筋遊走の程度を調べた.さらに粥状硬化部位の同定のために凍結切片を作製し,0.5% Oil-Red Oで脂肪染色することにより粥状硬化病変を確認した.内皮細胞の生理機能の評価では,食後高中性脂肪血症によって血管内皮機能がどう変化しているか,摘出血管の内皮依存性弛緩反応の変化をみた.肝臓組織を用いて,酸化ストレスの程度をTBARSアッセイにより定量した.その結果,遺伝性高中性脂肪血症モデル兎では,中性脂肪値が著明に増加していること,コレステロールはほとんど増加しないこと,大動脈の内膜には肥厚がみられ動脈硬化の初期病変を呈していることがあきらかになった.内皮機能にも低下の傾向がみられ,中性脂肪が動脈硬化進展と関連する可能性が示唆された.また,過酸化脂質レベルの上昇が認められ,それが病態とどのような関係があるか検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(A)メタボリック症候群での動脈硬化進展と食後高中性脂肪血症との関連,(B)メタボリック症候群での酸化ストレスの関与,を明らかすることを主な目的とした.動物からの血液データの採取,大動脈などの血管内膜に焦点をあてての動脈硬化進展に関する病理学的評価,および摘出血管標本における内皮細胞の生理機能の評価では,当初計画していた実験をおおむね実行しデータをまとめていくことができたと評価される.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,大学の運営交付金から分配される教員個人研究費や各種奨学寄付金など他の研究費から実験のために割り振ることができる部分があり,それらを合わせて研究室の一般化学薬品,消耗品の購入をすることができた.このことから,物品購入費のいくらかを次年度使用分とした.また,使用予定のパソコンおよびパソコン周辺機器の購入時期を購入予定パソコンのモデルチェンジに合わせたいとの希望があり,購入を翌年度初めにすることで若干予算を繰り越した.研究発表のために旅費については,当初予定していた複数学会に学内での日程があわずに出席できなかったことから,翌年度に持ち越しとなった.これらのいくつかの要因によって,次年度に繰り越す部分が残ったものである.しかしながら,上でのべたように,目的にしたがった実験は当初予定に沿ってほぼ順調に進捗しており,25年度も繰り越し金額と合わせて実験や研究発表のために使用していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度はフリーラジカルを除去する能力の高いポリフェノールをモデル動物に長期投与することを予定している.まずPHT兎を群にわけて長期飼育する.フリーラジカルを除去するポリフェノールを毎日投与する群と通常の餌を与える群とに分ける.ポリフェノールが動脈硬化の進展に対してどのような効果を持つのかを,24年度に用いた方法で明らかにする.まず,血中脂質濃度の測定,大動脈などの組織切片を用いて,病理組織学的にみて動脈硬化の進展度の違いを調べる.さらに生理学的に血管内皮機能の変化を調べてその改善度を明らかにする.これらに実験を実施するにあたり,モデル兎の購入,兎の飼育費,特殊食餌の作製に費用がかかることになる.また,飼育管理については,実験補助員を一部期間確保しておく必要も念頭におかなければならない.さらに研究発表旅費および論文等出版にかかる出費を予定している.
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Research Products
(3 results)