2013 Fiscal Year Research-status Report
脂質異常症の予防と治療のための短期軽度カロリー制限と運動処方の分子メカニズム
Project/Area Number |
24500849
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
澤下 仁子 信州大学, 医学系研究科, 助教 (40359732)
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Keywords | 抗加齢 / 疾患モデルマウス / 運動 / カロリー制限 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
本研究は、現代日本で増加の一途をたどるメタボリックシンドロームのうち、脂質代謝異常について、医療介入せずに軽快化あるいは予防する方策を提案することを目標としている。具体的には、メタボリックシンドロームの発症が懸念される成年あるいは高齢期のマウスを用い、個体別強度の運動処方とカロリー制限を同時に短期間実施し、血液生化学パラメータの改善程度と作用メカニズムを解析し、健康増進策の可否を評価する。2年目である本年度は、初年度の進捗状況から計画を若干変更して実施し、HDL構成タンパク質のApoA-IIに起因する全身性老化アミロイドーシスの若齢期マウスを用い、1) 運動処方効果の評価を継続するとともに、2) カロリー制限による効果も評価した。 結果1) 個体別強度運動あるいは一定強度運動を負荷した結果、個別強度運動は一定強度運動よりも糖代謝の改善やHDLコレステロール量の増加傾向がみられ、疾患の重症度も個別強度運動の方が顕著に改善する傾向がみられた。 結果2) カロリー制限は自由摂取よりも糖代謝の改善やHDLコレステロール量を増加し、疾患については重症度を顕著に軽減し、運動で軽減効果が高かった臓器以外の臓器でもその効果を発揮した。 平成26年7月開催の学術集会で、結果の一部を発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1。若齢動物に全身性疾患を負荷した手法により、「個別強度運動による健康増進効果」、さらに、「カロリー制限による疾患軽減効果」も証明でき、運動処方や介入期間の妥当性を示すことができた。 2。当初計画した、運動処方とカロリー制限の併用効果の評価が遅れている。飼育環境スペースの制限等により、解析に十分な個体数を本年度内に確保できなかったことに起因する。平成26年3月現在、疾患モデル動物の成年期および高齢期の個体数をほぼ確保できており、平成26年6月からは評価を開始する見込みである。しかし、脂質代謝異常マウスの確保が不十分で、当初計画の6ヶ月以上遅れていると判断した。 以上の理由により、総じて、研究の達成度を「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1。疾患モデルマウスの若齢、成年・高齢動物を用い、カロリー制限と運動処方を併用し、加齢変化に伴う各種パラメータ変化に対する効果を評価する。測定項目は当初の計画通り、体重、血圧、血液生化学パラメータ、運動量、酸化ストレス指標のほか、疾患重症度も評価する。 2。脂質代謝異常を呈するマウスを自家繁殖し、また、一部は購入し、カロリー制限と運動処方の併用効果について、上記1と同一項目を評価する。 3。1, 2の結果より、カロリー制限と運動の併用処方を評価するとともに、この処方による脂質パラメータ改善メカニズムの解明をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では生化学的解析の一部を外部委託する予定だったが、研究の進捗状況により、実施できなかったため。また、運動処方の決定やカロリー制限の是非を複数回検討する計画だったが、計画よりも少ない頻度で決定に至ったため。 当初の計画に従い、生化学的解析の外部委託、病理・遺伝学的解析にかかる試薬やディスポーザブル器具の購入、特別飼料の購入、研究補助にかかる謝金(2名を予定)、研究成果発表(国内)を行う。また、次年度使用額を生化学的解析と資質代謝異常マウスの購入、成年・高齢動物の飼養にあてる。
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