2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500851
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳川 まどか 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50566982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅垣 宏行 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40345898)
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Keywords | 認知症予防 / MCI / 運動 / アルツハイマー病 / 髄液アミロイドβ / リン酸化タウ |
Research Abstract |
本研究は、運動による認知機能改善が、アルツハイマー病関連の病理的変化の進行を抑制することで得られるものか否かを検討している。アルツハイマー病の発症メカニズムに迫ると共に、その予防法の開発につながり得る成果を挙げることを目的とする。 これまで生活習慣病、特に糖尿病と認知症の関連性について着目し、IRと認知機能の関係について知見を重ね、IRの改善と記銘力の改善が相関することを報告してきた。IRは体循環では高インスリン状態を引き起こすが、脳内ではインスリン不足状態を引き起こし、結果的にアルツハイマー病の原因病理とされるアミロイドβ(Aβ)沈着を促進する可能性が指摘されている。脳内Aβ沈着の進行により髄液Aβは低下することが知られており、髄液中のAβは脳内Aβ沈着のマーカーである。 今回アルツハイマー型認知症の前駆状態である軽度認知機能異常(MCI)と軽度アルツハイマー病変の患者を対象とし、運動介入の前後で、認知機能・IR・髄液Aβ・リン酸化タウを評価することで、運動による認知機能保護効果が、Aβ沈着の進行抑制によって得られるのか否かを検討する。 従事者として心理士1名及びスポーツインストラクター1名を雇用し、試験開始している。現在の登録者は9名、今後の追加登録者として6名の内諾済み。登録者9名中4名については試験終了している。 H26年度に分析及び論文化予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当患者で同意が得られた者を研究登録者とし、運動介入群・コントロール群に選別後、それぞれ介入前後に神経心理テスト、尿・血液・髄液の検体検査、MRI、SPECT、FMD検査を実施し解析するという行程は概ね順調に推移している。 しかしながらスクリーニングでは基準を満たすものの、実際の試験用心理テストバッテリーではMCI基準を満たさなくなることもあり、登録に至らない研究参加承諾者が30%以上いる。登録基準が厳格でありすぎる可能性もあるが、米国の大規模試験に準じた基準設定をしており、スクリーニングから試験開始までの時間を当初設定より長期(3ヶ月以上)にとること、学習効果による修飾を防ぐことで対処をしている。 中間解析では、介入前の髄液検査の結果から強くApoEの関与が示唆され、MCI診断は髄液検査結果からも極めて妥当性があるものと証明された。 研究登録者数が少ない為、統計上の有意差を得られるよう引き続き該当患者に研究登録を呼びかけている。
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Strategy for Future Research Activity |
統計上の母数拡大のため、研究登録者への神経心理テスト、尿・血液・髄液検査、MRI、SPECT、FMD検査を引き続き実施していく。 当初より研究登録人数確保は難渋すると予測されたが、効果検証時の有意差を実証できるよう、より一層の登録参加呼びかけを強化していく。登録基準におけるMCI診断基準が緩和されたことに伴い、参加基準を満たす患者が若干増加する見込みである。また非運動介入群への選別者に対し試験終了後3回の運動教室開催を計画する等、研究登録者確保の対策も講じている。中間解析では有望なデータが少ないながらも取得できており、引き続き髄液採取を伴う試験への研究登録を呼びかけていく。 検査結果を元に、髄液Αβ蛋白・インスリン抵抗性・認知機能の変化、尿中ホルムアルデヒド、イソプラスタン、FMDスコアの関連性について統計解析を行い、認知機能改善における運動効果について検証していく。特に中間解析において運動介入群における髄液変化が示唆されており、髄液変化解析を主体におき検証を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究登録者への検査費及び検査キット代は実施人数により増減変動するが、予算計上時に見込んだ研究登録者数の確保が困難にて、検査実施人数が少ないため未使用額が発生。 繰越金は研究補助者分人件費、検査キット(IL-6、TNFα)購入費、検査費(アミロイドβ40・42、リン酸化タウ、APOEフェノタイプ)として使用していく予定である。
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