2012 Fiscal Year Research-status Report
地域循環型の新たな介護予防(運動実践)支援システムの構築に関する研究
Project/Area Number |
24500858
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中垣内 真樹 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10312836)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 介護予防 / 運動プログラム / 地域好循環 |
Research Abstract |
スクエアステップエクササイズ(SEE)を活用しながら高齢者同士で運動を習慣化できる環境を整え(高齢者サロン等の育成)、この実践による効果および支援ソフトウェアを利用することでSEEを習慣化(サロンを継続)できるのかを検討した。対象はN県T町で介護予防事業として開催されたSEE教室に参加した高齢者21名とした。SEE教室は週1回、全10回とした。教室ではSEEの安全な実践方法、地域でSEEを実践するサロン立ち上げに向けたグループワークなどを取り入れた。教室終了後、活動を開始した高齢者サロンには研究代表者らが開発した支援ソフトウェアを提供して、運動を継続するように促した。SEE教室の効果は、握力、開眼片足立ち、8の字歩行テスト、椅子座り立ち(30秒)、 豆運び、10メートル歩行、タイムアップ&ゴー、椅子5回座り立ち、脚伸展筋力 、ステッピング、反応時間の11項目の体力測定から検討した。また、この中の5項目から体力年齢も算出した(中垣内ら, 2010)。さらに認知機能(ファイブコグ)テストも実施した。教室終了後、サロンとして活動を始めたグループについては、参加人数や実践状況を1~2ヵ月に1回程度観察した。教室前後で参加者の体力年齢は3.7歳の有意な若返りを示した。体力測定項目の中でも大きな改善が見られたのは椅子座り立ちであった(2.9回/30秒の増加)。約3ヵ月間の教室であったが、SEEによる身体機能、特に下肢への効果が示唆された。認知機能については有意な改善には及ばなかった。教室終了後、居住地域の近い有志によってSEEの高齢者サロンが立ち上がった。高齢者サロン参加者12名の6ヵ月間の出席状況は約70%で、支援ソフトウェアを活用しながら高齢者サロンの活動を継続(SEEを習慣化)できることが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の結果から、スクエアステップエクササイズ(SEE)には高齢者の身体機能、特に下肢の体力を改善する効果があり、申請者らが開発した支援ソフトウェアを活用することで、高齢者サロン(SEE)の活動を容易に継続できることが確認できた。SEEの実践を支援するソフトウェアを活用しながら高齢者同士がSEEを習慣化できる環境を整える(SEEを柱とした地域コミュニティを形成する)ことで、少子高齢社会の要介護化予防の推進の一助になり得ることが確認できた。次年度以降、地域循環型の運動支援システムの構築に関するマニュアルづくりに発展できる可能性が確認できたため、本研究は概ね順調に進展していると評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
これからの超少子高齢社会における介護予防の観点から、高齢者同士で運動を習慣化できる環境づくりは重要である(運動実践における老々支援の発想は必須である)。本研究では、申請者らが開発した運動支援ポータルサイトを活用しながら、高齢者同士で運動を実践できる環境を整え、この実践による効果を身体的側面・社会心理的側面から総合的に検証することを目的とする。エビデンスに基づく“新たな介護予防(運動実践)支援システム”の構築を目指す。具体的には、①元気・虚弱に関わらずお互いが支え合って主体的に運動を実践できる、②運動支援ポータルサイトの利用によって専門職との連携・情報交換が遠隔的にできる、③長期的には、支援する側・される側が高齢者同士で循環する、システムの構築を目指す。平成24年度は、①及び②の前段階を確認した。平成25年度は、運動支援ポータルサイトを利用していかに高齢者が継続して運動を継続できるか?また、ポータルサイトの情報を活用していかに参加者にフィードバックできるか?を追跡調査する予定である。また、継続して運動を実践している集団の身体的側面及び社会心理的側面から追跡調査をする。支援システムを構築するためのマニュアルづくりの準備に取りかかる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|