2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24500859
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 助教 (10457624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 助教 (00423715)
千葉 政一 大分大学, 医学部, 助教 (20457633)
清家 正隆 大分大学, 医学部, 助教 (40253794)
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 講師 (80343359)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脾臓 / IL-10 / メタボリックシンドローム |
Outline of Annual Research Achievements |
a) 高脂肪食の摂取による脾臓への影響:まず、高脂肪食の摂取が脾臓にどのような変化をもたらすか検討を行った。高脂肪食により、脾臓IL-10のみならず炎症性サイトカイン[TNF-alpha、IL-1β、MCP-1]の発現が低下するが、末梢血ではIL-10濃度のみが低下した。このようなことは、血中IL-10濃度は、脾臓由来のものが大きく関与していることを推測させる。 b) 脾臓摘出による生体への影響:これまでの結果から、脾臓からのIL-10合成能と肥満の間に関連性があることが示唆される。そこで脾臓を摘出すると、生体にどのような変化がみられるか検討した。脾臓摘出により、体重減少、血中中性脂肪、遊離脂肪酸濃度の高値、血中シスタチンC濃度の高値、さらには血圧上昇が認められた。脳、肝臓、腎臓、膵臓では、肥満による脾臓IL-10合成能の低下は、軽度な視床下部内炎症を引き起こした。またブドウ糖負荷試験では、脾臓摘出はインスリン抵抗性を惹起させた。 c) 食事変更による生体の影響と脾臓との関係:高脂肪食から低脂肪食に変更することにより、脾臓内のB細胞発現や酸化ストレスは改善し,IL-10合成能改善した。また、脾臓がある場合には他臓器病変は改善したが、脾臓が摘出された場合、食事変更による臓器への改善効果は認められなかった。 d) 脾臓由来IL-10合成能の臨床的意義:IL-10欠損マウスでは、肥満による臓器障害と脾臓の有無や、高脂肪食から低脂肪食への変更に関連性がないことが認められた。臨床的には、MetS発症予防の1つに、摂取カロリーの是正が推奨されている。しかしながら、このような摂取カロリーの是正を効果的にするためには、脾臓由来IL-10合成能の保持が重要であり、今後、“脾臓機能”をMetSの治療戦略に組み入れる必要があると考える。
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