2012 Fiscal Year Research-status Report
栄養素の代謝制御の鍵を握るFGF21の分子基盤の解明と生活習慣病の予防効果
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24500862
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
新井 英一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (60325256)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食後高血糖 / パラチノース / FGF21 / 代謝動態 / グリコーゲン / 低GI成分 |
Research Abstract |
平成24年度、パラチノース投与後における生体の栄養素代謝動態について、経時変化の点からの解析を実施した。パラチノース投与群は、シュクロースおよびこれらに含まれる単糖類(グルコース+フルクトース)投与群に比して、血糖値、血漿インスリン値、血中中性脂肪濃度が緩徐に上昇し、ピーク値の軽減を示した。同様にパラチノース負荷後の肝臓内での中性脂肪濃度も緩徐に上昇し、その変化は脂肪酸合成に寄与する遺伝子(ACC、FAS等)の発現変動に伴っていた。興味深いことに、パラチノース群は単糖類群およびシュクロース群に比してグリコーゲン量の増加のピークが遅延し、さらに他の2群のピーク値に比して高値傾向を示した。この詳細なメカニズムについて、現在解析を続けている。一方、パラチノース群において、FGF21遺伝子の発現が経時的に上昇する結果を見いだした。この効果をより精査するために、1-13C標識した糖質を用いた投与試験を行い、経時的に採血および臓器の摘出(肝臓、筋肉、脂肪組織)を試みたプレ試験を実施した。現在、LC-MSおよびGC-MSを用いた検出法を用いて、アッセイの構築に取り組んでおり、検出可能であることを実証したが、定量という点において、十分に精査ができていないため、今後より追求する予定である。特に脂肪酸やグリコーゲンに取り込まれる1-13C標識体の量を比較することが可能になれば、糖質の違いによる脂肪酸合成すなわち内臓脂肪蓄積量の促進度合いおよび利用動態を比較することが可能になるため、次年度以降、代謝産物の動態を把握できるアッセイの構築を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね予定通り、進行しているが、1-13C標識体の「検出」に際して問題は生じていないが、「定量」という点について、十分に構築が進んでおらず、この点についてやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
食後に変化する候補因子の同定に繋がったことから、栄養素による発現機構および作用機序を解明することが急務である。中でも発現に寄与する因子の探索は動物試験のみならず培養細胞等を用いた試験を同時に行う予定である。また13Cにて標識した糖質の定量について、分析科学を得意とする大学内研究者にアドバイスをいただき、今後の対応について検討する。また、興味深い結果となったグリコーゲン蓄積の差異などについても、動物実験のみならず、細胞実験などを用いて、糖濃度やホルモン濃度を変化させ生じる現象をより精査し、機序の解明に務める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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