2013 Fiscal Year Research-status Report
栄養素の代謝制御の鍵を握るFGF21の分子基盤の解明と生活習慣病の予防効果
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24500862
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
新井 英一 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (60325256)
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Keywords | 食後高血糖 / パラチノース / 代謝動態 / 脂肪酸 / 安定同位体 / FGF21 |
Research Abstract |
食後高血糖は、脂肪肝や糖尿病を引き起こす要因となることから、是正することは極めて重要である。パラチノースはスクロースの異性体であり、食後高血糖の抑制が期待できる炭水化物であるが、体内における詳細な代謝動態は不明である。糖質の代謝産物 (例えば中性脂肪: TG) の評価のためには多くの情報が必要であり、大変煩雑である。平成25年度、これらを解明するためのデータベースを構築することを目的とした。13Cで標識したオレイン酸およびステアリン酸を大豆油に溶解させた溶液を、ラットに経口投与した。投与5時間後に肝臓および白色脂肪組織を摘出し、脂質画分をLC-MS/MSにて評価し、加えて安定同位体の検出も実施した。両脂肪酸投与から得られた脂質のクロマトグラムに差異は見られなかったが、臓器間において異なるスペクトルを呈した。得られたマススペクトルからTGに構成される脂肪酸を推定し、構成の異なるTGを肝臓において61種類、白色脂肪組織において62種類を検出した。肝臓サンプルの解析において、オレイン酸投与およびステアリン酸投与の両群に含まれると推定できた主要なTGの11種類についてMS/MS解析を行った結果、13Cオレイン酸を含むTGの6種類、13Cステアリン酸を含むTGの2種類を検出した。同様に白色脂肪組織サンプルの解析において、主要なTGの9種類についてMS/MS解析を行った結果、13Cオレイン酸を含むTGの1種類を検出したが、13Cステアリン酸を含むTGは検出することができなかった。本研究において、LC-MS/MSを用いた質量分析により、生体試料内のTGを構成する脂肪酸の推定および安定同位体を用いた脂肪酸の投与後における代謝産物の検出法を構築することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね予定通りに進行しているが、生体内試料のデータベース化に時間を要したため、同時進行にて解析を行う予定であったFGF21の分子メカニズムの解析が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に解析した遺伝子・タンパク発現結果および平成25年度に解析した生体試料からのデータベースを基に、関連因子などの統合を行う。また、安定同位体にて作成したパラチノースを用いて解析を行うことで、本研究の目的である詳細な代謝動態を明らかにできると考えている。
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Research Products
(3 results)