2013 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣病予防・治療を目指した膜型脂溶性リガンド受容体の新規機能解明
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24500863
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足達 哲也 神戸大学, その他部局等, 准教授 (60345014)
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Keywords | GPCR / シグナル伝達 / エストロゲン |
Research Abstract |
膜型脂溶性リガンド受容体の発現、シグナル伝達系解析およびそのシグナル伝達系からの細胞応答性を解明し、膜型脂溶性リガンド受容体機能からの生活習慣病・メタボリックシンドロームの新しい予防・治療法の開発を目的として研究を進めてきている。本年度は、前年度に引き続き、循環器系機能改善を目指した脂溶性リガンド受容体機能解析と新規リガンド探索を目指し研究を行ってきている。前年度から解析を進めている膜型エストロゲン受容体GPR30は、初代培養心筋細胞において、17β-エストラジオール刺激でシグナル伝達下流のERKのリン酸化が亢進することを明らかにした。また、実験的虚血再灌流(2時間低酸素(0%酸素)環境から通常酸素濃度環境へ回復させ24時間後)において、17β-エストラジオールの持続刺激により、初代培養心筋細胞の細胞死の抑制が認められた。この細胞死の抑制効果について、GPR30からのシグナル伝達系と低酸素で誘導され細胞保護にかかわる低酸素誘導因子(HIF-1α)との関連性を検討したところ、低酸素環境下においた初代培養心筋細胞のHIF-1αについて、17β-エストラジオール刺激により、その発現が有意に高値を示した。現在、GPR30-HIF-1αをつなぐシグナル伝達系の解析を進めるとともに、他の膜型脂溶性リガンド受容体のシグナル伝達系因子との共通性も解析することによって、虚血再灌流障害からの心筋細胞機能保護作用につながる新しい創薬ターゲットを見出す研究について、引き続き進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において、循環器系においていくつかの膜型脂溶性リガンドGPCRのうち、GPR30に関する心筋細胞の障害に対する保護作用のメカニズムが見えつつあり、次年度に向けて、他の膜型脂溶性リガンドGPCRへの研究展開への布石となった。
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Strategy for Future Research Activity |
膜型脂溶性リガンド受容体のうちGPR30について、GPR30-HIF-1αをつなぐシグナル伝達系の解析を進める。また、他の膜型脂溶性リガンド受容体(例えば、GPR40、GPR41、GPR43、GPR119、GPR120など)のシグナル伝達系因子との共通性も解析することによって、心筋細胞のみならず、これら受容体が発現する臓器・細胞での機能解析、シグナル伝達系因子との共通性からにより見出される新規創薬ターゲット探索について、次年度進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度、異動等もあり、新しい環境での研究準備を進めていた関係で、一部物品経費の利用ができなかったこと、研究学会発表などへの出張が取りやめになったこともあったため、次年度への繰越となった。 細胞培養用消耗品、実験動物、一般的生化学的試薬について計上するとともに、膜型脂溶性リガンド受容体の機能解析に必要な各種抗体、細胞内シグナル系を検出するためのインディケーターに関する計上も予定している。また得られた成果を発表するため、国内外学会出張費、論文投稿費も計上を予定している。
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Research Products
(2 results)