2012 Fiscal Year Research-status Report
不活動による筋インスリン抵抗性惹起の分子メカニズムの解明と予防法の開発
Project/Area Number |
24500867
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
筧 佐織 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (00450560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜庭 景植 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (50175460)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 不活動 / インスリン抵抗性 / 骨格筋細胞内脂質 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームや2型糖尿病の最も重要な病態の一つであるインスリン抵抗性は身体不活動によりもたらされる肥満と密接に関わっているとされている。しかしながら、東洋人を始めとする非肥満者が多い民族では必ずしもこれは当てはまらない。この点に関して、不活動が肥満の発生とは独立してインスリン抵抗性を惹起する事象に対するメカニズムの解明は、非肥満者の病態を説明するのに重要である。これまでの我々のヒトにおける先行研究では、身体活動が少ない者ほど高脂肪食負荷による細胞内脂質の蓄積が大きく、インスリン感受性の低下が大きいことを明らかとしているが、身体活動量の減少と高脂肪食の骨格筋インスリン感受性に対する相加・相乗的な作用は不明である。そこで本研究では、短期間の不活動による筋インスリン抵抗性惹起の分子メカニズムを動物実験による機能解析で明らかにすることを目的として実験を行った。 C57BL6J雄性マウスに対して、2週間の普通食あるいは高脂肪食負荷後に、不活動のモデルとして片側下肢を24時間ギプス固定し、骨格筋のインスリン感受性やインスリンシグナル伝達、LC-MSによる細胞内脂質組成を調査した。 24時間のギプス固定は骨格筋のインスリン抵抗性を惹起し、高脂肪食負荷後にギプス固定を行った場合には、さらなるインスリン抵抗性を引き起こすことが確認された。これらのインスリン抵抗性の程度は、細胞内のDAGの蓄積量とインスリンシグナル伝達の減弱と関連していた。 以上の結果より、マウスにおいて、不活動は24時間という極めて短時間でインスリン抵抗性を惹起させうることが明らかとなった。また、不活動と高脂肪食は骨格筋の相乗的なインスリン抵抗性惹起に関与し、その原因として骨格筋細胞内のDAG蓄積とインスリンシグナル伝達不全が重要である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究結果より、身体活動量の減少と高脂肪食摂取の骨格筋インスリン抵抗性惹起の相乗効果について、一部分子機序が明らかとなってきた。今後、これをさらに発展させていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ヒトに対する実験による機能解析を行う。(サンプルは採取済み) 今回明らかとなった動物実験での結果を基にヒトでの検証を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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[Presentation] Physical inactivity and high fat diet synergically induce insulin resistance in skeletal muscle through PTP1B activation.2012
Author(s)
Kakehi S, Tamura Y, Takeno K, Kawaguchi M, Watanabe T, Funayama T, Sato F, Ikeda S, Fujitani Y, Kawamori R,Watada H
Organizer
American Diabetes Association 72st scientific sessions
Place of Presentation
Philadelphia
Year and Date
20120608-20120612
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[Presentation] Characteristics of non-obese japanese men with muscle and/or liver insulin resistance.2012
Author(s)
Takeno K, Tamura Y, Kawaguchi M, Watanabe T, Funayama T, Sakurai Y, Sato F, Yamamoto R, Kim M, Kakehi S, Ikeda S, Giacca A, Fujitani Y, Hirose T, Kawamori R,Watada H
Organizer
American Diabetes Association 72st scientific sessions
Place of Presentation
Philadelphia
Year and Date
20120608-20120612
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[Presentation] シダグリプチンが異所性脂肪蓄積、糖代謝に与える効果2012
Author(s)
田村好史, 渡邉隆宏, 船山崇, 竹野景海, 川口美奈子, 筧佐織, 山本理紗子, 藤谷与士夫, 弘世貴久, 河盛隆造,綿田裕孝
Organizer
第55回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
神奈川
Year and Date
20120517-20120519