2013 Fiscal Year Research-status Report
海馬ニューロン新生に対する身体運動制御の定量的評価
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24500876
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山田 久夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (00142373)
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Keywords | 運動 / 海馬 / ニューロン新生 / 遊具型トンネル / マウス |
Research Abstract |
初年度につづき、「傾斜付き実験遊具トンネルの徘徊実験」をおこない、例数を増やすことにより、この実験に関してはほぼ終了することができた。 すなわち、飼育用の通常ケージ(給餌器付き)に、直径5cm 長さ50cm の塩化ビニル製の管を(上下傾斜をつけて)つなぎ、さらにビニル管の逆端に小型ケージ(飲料ボトルつき)をつなげた。このビニル管トンネルの傾斜角度を0度、45度、90度とし、トンネル内に歩行徘徊通過回数をカウントするセンサーを設置した。このような遊具付き飼育装置にマウス(CL57BL/6、8週齢雄)を自由行動・自由飲食状態で14日間飼育した。また、飲料水にチミジンアナログであるBrdU (1mg/ml)を含ませておいた。飼育14日目にマウスをかん流固定し、組織化学法にてBrdU摂取細胞を同定した。恒常的にニューロン新生が認められるとともに学習に関与するとされる海馬歯状回を対象に顕微鏡下で観察し、標本の単位面積当たりのBrdU摂取細胞数(分裂増殖した細胞=新生ニューロン)をカウントした。3群間で、マウスの徘徊行動数や飲水量(BrdU摂取量)には大きな差はないが、傾斜角が大きいほど陽性細胞数が多かった。飲水量に差がないことから、摂取BrdUはほぼ等量と言える。トンネル通過回数・上下距離・マウスの体重から運動エネルギー量を算出したところ、運動エネルギー量に依存して、海馬歯状回でのニューロン新生が増加するものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験そのものはきわめて順調に推移している。本計画中に予定されていた所属大学のキャンパス移転が前倒しとなり、それに伴う動物実験施設や共同施設を利用できない期間や研究室自体の引っ越し作業による実験中断期間が、初年度に生じたため、実験手順を申請時とははやや入れ替えながら遂行している。2年目となる25年度は「傾斜付き実験遊具トンネルの徘徊実験」を集中的におこない、例数も増やすことができた。目的とする所見が得られているので、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果から、「傾斜付トンネル自由歩行実験」についてはほぼ結論が得られたと考えているが、新生した細胞がニューロンになることを確認する実験を追加する。また、成果公開のために論文執筆をはかる。「ランニングローター走行実験」「強制的水浴実験」についても予備実験を開始したところであり、持続して実験を行う。一方、末梢神経系でも身体活動と神経系細胞新生との関係を解析したところ、目的外の研究成果として、シュワン細胞の増殖帯と思われる部位が発見された。この偶然の発見も成果公開につなげるため詳細な解析を進めている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大学キャンパスおよび研究室の移転時期が前倒しとなったため、研究計画全体の手順の見直しを行った結果、初年度計画分の一部実験を2年次に回しておこなった。2年次が終了しほぼ計画通りに戻ったが、実験手順入れ替えにより2年次終了時点で数パーセント程度の差異が出た。 最終年度に加わった124985円は、追加実験用試薬および実験動物購入増加分と成果公開のための経費に充てる。
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Research Products
(10 results)