2014 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームによる身体活動低下へのマクロファージ走化と分化の関与
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24500878
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
矢野 博己 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (20248272)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マクロファージ / 走化性 / 損傷骨格筋 / J774細胞 / C2C12細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる表現型に分化したマクロファージが筋損傷後の回復過程におよぼす影響について、肥満症に伴う慢性炎症性疾患をイメージし、骨格筋再構築に対する炎症型マクロファージ(M1)の筋再生遅延作用について検討を行った。M1型マクロファージ細胞はPI3Kの活性化が生じていたため、PI3K阻害剤 (Ly) 処理によってその活性化抑制を行った。その結果、M1型マクロファージへの分化誘導は抑制されなかったが、このLy処理されたM1型マクロファージ培養上清によって、筋の再生抑制は消失した。この作用は、M1型マクロファージ由来のTNF-alpha産生が、Ly処理によって抑制を受けたためである可能性が示された。再生骨格筋細胞の接着性への影響は観察されなかった。以上のことから、M1型マクロファージの増加が、運動後の骨格筋再構築を遅延させ、その結果、運動の習慣的継続が困難になってしまう可能性が示唆された。 また、本年度は、最終年度として、積極的に成果の公表活動として、国内外の学会発表を(昨年度掲載された研究論文の内容を中心に)実施した。さらに、専門の研究会での教育講演も実現できた。また、高大連携事業を通じて高校生へスポーツ科学研究の重要性とおもしろさを伝える中で、研究成果の意義を公開した。現在、さらなる研究成果の論文執筆の途中でもある。 本研究期間全体を通じて、マクロファージの走化性の可視化に成功し、この手法で損傷筋へのマクロファージ走化性におよぼすM1/M2分化の影響を明らかにした。さらに、 損傷骨格筋細胞から流出する分子が正常骨格筋細胞に認識され、ケモカイン産生を促し、そこへ向かってマクロファージ細胞が走化性を発揮することが明らかとなった。走化性因子の作用から、運動後の休養期間等を検討する一つの指針作成に貢献する知見が得られたものと考える。
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Research Products
(6 results)