2013 Fiscal Year Research-status Report
家庭科における生活資源とライフスタイル選択に関する実践的ライフキャリア教育の研究
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24500885
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
佐藤 裕紀子 茨城大学, 教育学部, 准教授 (00272740)
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Keywords | キャリア教育 / 高等学校家庭科 / 基礎的・汎用的能力 / 男女共同参画 |
Research Abstract |
平成25年度は、家庭科において男女共同参画の視点から授業を行う際の課題を提示することを目的として以下の2つの研究を行った。これらの研究の結果を学会誌に投稿し、現在、審査中である。 (1)家庭科の授業とキャリア教育との関わり:茨城県の高等学校123校の家庭科担当教員を対象に、家庭科の授業で扱っている内容とキャリア教育を行っているという意識等についてアンケート調査を実施した(回収率48%)。その結果、家庭科の授業では、中央教育審議会答申「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」(2011)(以下、「答申」)に示された「基礎的・汎用的能力」のうち「自己理解・自己管理能力」の形成に資する内容がとくに多く扱われており、教員の意識としても家庭科の授業のねらいとして、「自己管理能力」の育成に通ずる、生活者として自立するための知識・技術の習得を挙げる割合が高いことが示された。だが、そうした知識・技術を扱う授業においてキャリア教育を意識する割合は低く、生活自立のための知識・技術の習得は、教員にはキャリア教育の一貫としては自覚されていない実態も明らかとなった。 (2)家庭科の学習を通じてキャリア教育を行うための枠組の検討:「答申」に示された「基礎的・汎用的能力」の枠組をもとに、平成21年版『高等学校学習指導要領』における共通教科「家庭」の「家庭総合」の学習内容を、ライフ・キャリア発達支援の視点から検討した。その結果、「基礎的・汎用的能力」の4つの能力は、家庭科の学習において男女共同参画の視点からすべて扱うことができることが確認された。特に他教科にはない独自性としては、公的領域における社会的・経済的な活動のキャリア形成に必要な力だけでなく、それと大きく関わる私的領域の諸活動を視野に入れて、男女双方の生涯に亘る全人格的なキャリア形成を実現する力を育成できる点が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高等学校の新しい学習指導要領(平成21年版)が平成25年度から年次進行で実施されたことから、実態調査の実施を当初予定の平成24年度から平成25年度に延ばしたためである。平成25年度は平成24年度に予定されていた調査を実施したことに加え、平成26年度に予定している家庭科における新しいライフキャリア教育の内容の検討を行い、学会誌に投稿した(日本家庭科教育学会『日本家庭科教育学会誌』)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は平成25年度の研究結果について、学会誌に公表する(現在、審査中)とともに、研究結果をふまえ、家庭科におけるライフ・キャリア教育の実践・評価を行う。 当初の予定では生活設計領域のみでの実践を行う予定であったが、これまでの研究結果をふまえるならば家庭科のカリキュラム全体を通じたテーマ設定が必要となる。実践・評価の方法を充分検討することが課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度実施予定であった調査を平成25年度に実施した。調査票の整理およびデータ入力作業に人件費を40万円程度見込んでいたが、自由記述等の確認もあることから、データ入力作業については研究代表者自ら行ったため、人件費を節約することができたため。 平成26年度はライフキャリア教育に関する授業の提案・評価を予定している。当初予定していた生活設計領域のなかでの授業の提案とは異なり、家庭科カリキュラム全体を通じた提案を行う予定であるため、そのために必要となる文献や聞き取り等のリサーチに費用を充てる計画である。
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