2013 Fiscal Year Research-status Report
センサネットワークと知識ベースを用いた高齢者見守りシステムの研究
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24500886
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
渋沢 進 茨城大学, 工学部, 教授 (20110398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米倉 達広 茨城大学, 工学部, 教授 (70240372)
大野 博 茨城大学, 工学部, 助教 (90250985)
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Keywords | 高齢者生活 / 日常生活動作 / 見守りシステム / 深度センサ / ヒューマンコンピュータインタラクション / 人の顔方向抽出 / ウォークスルーシステム / ジェスチャ |
Research Abstract |
本研究では,センサネットワークと知識ベースを用いた高齢者見守りシステムを開発し、運用するとともに、見守りシステムの基盤となる先進的ユビキタスネットワーク技術を開発する。高齢者見守りシステムの研究は、高齢者の自立、生活支援、生活の質の向上、緊急の場合の対応等に関する社会的・技術的基盤を提供し、介護者の負担軽減に資する。 1.情報通信技術を用いた高齢者見守りシステムの開発と運用: 今年度は、赤外線センサ、深度センサ、超音波センサを個別に用いて、人間の動作を検出し認識する動作認識システムを作成した。作成したシステムは、次の4つである。(1) 深度センサを用いた人の日常動作と転倒の検出システム (2) 深度センサを用いたシルバー体操支援システム (3) 超音波センサを用いた人の姿勢の検出システム (4) 深度センサを用いたベッド周辺の異常検出システム 2.先進的なユビキタスネットワーク技術の開発: 人の顔方向を検出する研究は、人が関心のある事物を推定する多くの分野に応用可能である。大きな表示画面に複数の人がジェスチャを通して行う対面協調作業は、小会議やグループワークにおいて有用である。ユーザへの広告の柔軟な配信のために、デジタル・サイネージの高度利用が求められている。情報通信技術の進展に応じて、日常生活における新しいヒューマンインタラクションシステムの開発が望まれている。今年度は、これらの課題に関して次の7つの研究を実施した。(1) 人の顔方向のウォークスルー映像システム (2) 赤外線画像認識によるマルチユーザテーブルトップシステム (3) 歩行者に情報を正対表示するデジタル・サイネージ向けシステム (4) 深度センサを用いた個人認証システム (5) 深度センサを用いたモーションキャプチャ操作システム (6) 瞬き入力インタフェース (7) スマホを用いた料理レシピの音声読み上げシステム
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、複数の種類のセンサを用いたセンサネットワークから高齢者の生活動作を検出し、独自のセンサ知識ベースを作成して高齢者の生活状態を推定し、遠隔に住む家族や介護者に高齢者の状態を知らせる見守りシステムを開発し、運用することを目的としている。また、見守りシステムの基盤となる先進的ユビキタスネットワーク技術に関する研究を行うことを目的としている。 高齢者見守りシステムの開発と運用については、複数の種類のセンサを個別に用いて、人間の動作を検出し識別するシステムを作成し、高齢者に対して被験者実験を行ってきたが、これまで未達成の部分がある。それは、各センサの動作検出条件が知識となりつつあるが、複数のセンサによる動作条件の知識が統合されていない点である。これは、本研究を開始後、深度センサが安価に普及してきたため、他のセンサ技術がなかなか発展しないことが一因である。 また、開発システムのソフトウェアで動作検出を行っており、まだデータベース化していない。これは、現時点では、あまり複雑でない日常動作の判定条件が、データベース化しなくてもソフトウェア内の繰り返しの条件判定で記述できるためである。 見守りシステムの基盤となる先進的ユビキタスネットワーク技術に関する研究については、多くの新しい研究を実施してきたが、これに関しても未達成の部分がある。それは、顔方向のウォークスルーシステムについて、顔方向の検出精度をさらに上げる研究を続けてきたが、社会的運用への適用が遅れている点である。また、P2P情報共有方式の研究については、研究成果の論文化と発表が遅れている。 以上より、本研究において多くの先進的システムの開発を行い、予定以上に進んでいる部分もあるが、上記のような未達成の部分があるため、「やや遅れている」という判定をした。
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Strategy for Future Research Activity |
センサネットワークと知識ベースを用いた高齢者見守りシステムを発展させるとともに、その基礎になる先進的ユビキタスネットワーク技術の開発をさらに進める。高齢者見守りシステムについて、前年度の研究で未達成な課題を実施するとともに、地域の高齢者施設で見守りシステムの運用実験を行う。 1.高齢者見守りシステムの開発と運用: 前年度の研究で未達成の課題を実施する。(1) 複数の深度センサを用いて人の動作を識別するセンサネットワークを形成する。(2) 複数のセンサデータを統合して人の動作のデータベースを作成する。(3) 高齢者による多様な実験を行う。 また、高齢者見守りについての研究を発展させて次の課題を行う。(4) 新しい対象と方式によって見守りシステムを発展させる。(5) 作成システムの性能評価を行う。(6) 地域の高齢者施設で見守りシステムの運用実験を行う。(7) 見守りシステムを地域コミュニティにおける社会情報ネットワークとして発展させる。 2.先進的なユビキタスネットワーク技術の開発: 先進的なユビキタスネットワーク技術の研究の発展を図る。複数の種類のカメラやセンサを用いて人の行動を検知する研究を発展させる。(1) 人の顔方向のウォークスルー映像を監視システムとして社会実験し評価する。(2) グループによる共同作業に対して、マルチユーザテーブルトップシステムを社会実験し評価する。(3) 新しい対象と方式によって、人の行動の検知とヒューマンインタラクションに関する研究を発展させる。(4) 遠隔コミュニケーションが促進する先進的技術の発展を図る。(5) 仮想現実感・複合現実感の技術と組み合わせて人間の日常生活を支援する先進的ユビキタスネットワーク技術の発展を図る。(6) P2P接続グラフの研究を発展させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
RGBカメラの機能も持つ深度センサの性能が向上して、急速に普及してきたため、研究に用いる物品が安価に購入できた。また、システム開発をする研究協力者の能力が高く、システム開発部分の人件費の一部がこれまで節約できている。このため、「次年度使用額(B-A)」欄が「0」より大きくなった。 次年度は、開発システムが取得する研究データの処理のために、次年度使用額も含めた物品費を使用する。また、被験者実験と研究データの処理に研究協力者の長時間の協力が必要であり、前年度以上の人件費・謝金を見込んでいる。このため、次年度使用額とH26年度請求額を合わせた額を本研究全体で使用する。具体的には、次の項目について使用を計画している。 (1) 物品費:データ処理のための物品費、研究成果の保存のためのメモリ、研究論文の掲載費 (2) 旅費:研究成果の国内外での発表旅費 (3) 人件費・謝金:被験者実験と研究データ処理に対する謝金、外国語論文の校閲 (4) その他:研究成果のWeb公開費、研究資料の印刷複写費
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Research Products
(6 results)