2012 Fiscal Year Research-status Report
自立した食生活人を育成するための家庭科教育の要件に関する研究
Project/Area Number |
24500888
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
河村 美穂 埼玉大学, 教育学部, 教授 (00361395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 理子(片平理子) 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (70204427)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 食生活 / 自立した食生活人 / 家庭科教育 / 調理技能 / 調理学習 |
Research Abstract |
24年度は自立した食生活人の要件を明らかにする研究の基盤として、以下の①~③を行った。 ①先行調査研究の再検討:家庭科に関する各種の先行調査研究を資料として、自立した食生活人となるための要件を明らかにするという視点から、再度検討を行った。当初の予定では家庭科教育関係の調査研究を再検討したが、研究成果が十分ではないことが明らかになったことから、広く家政学の食生活調査および一般企業が実施した各種調査も検討対象とした。調査研究のうち、食生活の成立要因を因子分析を行って明らかにするものが本研究で参考とすべき研究であることがわかった。 ②家庭科教育履修者(成人)に対するアンケート調査:①の先行調査研究の再検討の結果、食生活を成立させる要因を「健康志向」「食への興味・関心」「生活環境・食文化・食経験」「共食・人間関係」「自己コントロール」「社会・経済的視点」の6つであると想定し、質問を全部で34項目設定し、さらに調理技能の習得実態、調理技能に関する知識に関する設問も設定して予備調査の上、修正し、本調査を実施した。対象は埼玉大学産学連携加盟企業の13社に依頼し、4月現在で260部の回答を得ている。 この調査に先だって神戸市東灘区の食育フェアにおいて簡単な調理技能に関する調査を一般市民向けで行った。調査結果は現在分析中であり、25年度6月の食生活学会で発表予定である。 ③調理学習者の意識変容の分析:調理を学ぶことによって食生活への意識がどのように変化するのか、栄養士養成コース在籍の女子大学生約30名を対象として調理関連科目2科目1年間の意識の変容、および学習の定着・調理技能の習得による変容について、データの収集を行った。データは大半が学習者本人が記述したものであることから、質的な分析を必要としている。これらは25年度に分析予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、3つの研究を同時に進めている。とくに②③の研究は調査を終了しデータを収集してこれから分析に取り組む予定である。25年度末には、これらの分析結果をまとめ、複数の学会に投稿予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度は調査研究の到達点を見極めること、調査の範囲、内容、方法を具体的に選定することに時間を要した。なかでも共同研究者も含めてメンバーが顔をそろえて議論することに時間をかけ、自立した食生活人の具体的様相を検討した。その結果、社会人を対象とした②のアンケート調査の実施が当初予定より若干遅れ、年度末となった。 そこで、25年度は、24年度末に実施した調査研究の分析を行い、自立した食生活人となるための要因を統計的な手法を用いて明らかにすることとする(②家庭科履修者に対するアンケート調査)。なお、②のアンケート調査を作成するにあたって実施した①先行調査研究の再検討については、食生活の自立に関する調査研究のレビューとして整理し論文にまとめる。25年度はとくに食生活の自立に関する要因を探究する一つの視点として、日本の食生活・食文化の特徴と食生活の自立と関連を検討したいと考えている。特に日本の食生活の歴史的背景から、類似性と対照性を併せ持つ他のアジア諸国の食文化との比較検討も視野に入れ、日本独自の食生活の特徴を明確にしたうえで、調理技能を含めた食生活の自立について考察を深めることとする。 さらに、当初計画にある学習者の③意識変容の分析調査については、昨年度収集したデータについての質的な分析をすすめ、調理を学ぶことが自立した食生活人となるための要因としてどのように機能しているのかをケーススタディーをもとに詳細に検討する。 以上の研究の遂行に当たっては、24年度同様各担当が研究の進捗状況について密に連絡し、直接会って議論する研究会を可能な限り開催することだと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケート調査の回収が24年度末から25年度始にずれ込んだため、24年度の研究費の繰り越し分は、主として入力・分析のための謝金等に使用する。さらに、昨年度収集した③意識変容の分析調査のデータについても、入力・分析のための謝金を必要とする。 25年度は、②のアンケート調査③のインタビュー調査を進める上で、家庭科教育で行ってきた・行っている調理技能の教育を整理しておく必要があるため、高校家庭科・中学校家庭科の教科書を発行分すべて購入し比較検討する。さらに、関連の学術書・市販の料理書(レシピ本)などの収集をするために購入費が必要である。 さらに、25年度も共同研究者との打ち合わせを頻繁に開催するため、さらにアジア地域の食生活の状況を把握するために隔年開催のARAHE(アジア家政学会)シンガポール大会への参加も予定しているため、いずれも旅費等として支出する予定である。
|
Research Products
(7 results)