2012 Fiscal Year Research-status Report
ファザーリングの生活文化的探求からの保育課題に関する実証的研究―中国との比較検討
Project/Area Number |
24500891
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 葉子 千葉大学, 教育学部, 教授 (30282437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐙屋 真理子(一見真理子) 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (20249907)
岡田 みゆき 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (90325308)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 保育・子育て / ファザーリング / 家庭科教育 / 質問紙調査 |
Research Abstract |
本研究では、ファザーリングという焦点から保育課題を構造的に捉えることが可能であるという先行研究の理論に依拠し、青年男子・就学前児の父親が有する父親役割認識・獲得している知識・スキル、子育て関与など、すなわちファザーリングとその影響要因を生活文化的文脈から探り、教育支援を問い直すことで、現代の保育・子育てをめぐる課題に迫り、我が国の親になるための教育および子育て中の親への教育に関する未来志向的な知見を得ることを目的とする。この生活文化的な探求と教育支援の問い直しに際しては、より相対化した考察・分析のために中国との比較を行い、実証的な検討を進める。 具体的な実施計画は、大きく二つにわけられる。一つは、質問紙調査・インタビュー調査実施である。平成24年度は、日本・中国の父親の子育て関与に関する先行研究に関しての十分な文献調査と共同研究者間での議論の上で、調査対象者の選定を含む調査の枠組みを設計し、それに基づいて両国で予備調査を行い、その分析を踏まえて、調査用紙を作成した。国際比較研究においては、近似した属性の対象者選定や、各国の社会文化的背景を考慮した上での質問紙調査内容の検討が重要であるが、本研究では、首都圏在住の高学歴の学生と父親を対象としたこと、予備調査の結果の検討を行ったことで、信頼性・妥当性を備えた調査内容となったと考える。 もう一つは教育支援の資料収集である。平成24年度は、日本の学校教育(中・高・大学)と地域行政主導の子育て中の親への教育支援の実施状況把握を中心に進めた。特に、後者については、ガイドブック等の子育て支援情報の発信や、教育的支援の具体策としての企画・講座の実施状況に関して、全国の市町村に対し、多規模な調査を実施した。この種の調査は今まで行われておらず、地域行政の子育て支援の実態把握としては意義深いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施計画における二つの柱(①質問紙・インタビュー調査、②教育支援資料収集)のそれぞれに関する達成度について報告する。 平成24年度は、①の質問紙調査・インタビュー調査実施に関しては、調査枠組みの設計、調査用紙作成(中国語への翻訳含む)までを行った。対象の選定に関しては、居住地は首都圏(日本は東京近郊、中国は上海)、最終学歴は大学以上とし、進学実績の高い高校や国立大学の学生、小学校へ進級する前の子どもをもつ父親とした。後者に関しては、父親自身が、自分の子育て関与の実態や認識に関して、客観化し総括できる適時性を考慮したためである。質問紙調査内容は、1)子育てにおける父親の役割に関する認識 2)子育てにおける意思決定における父親の関与 3)子育てにおける父母の関係 4)6歳までの乳幼児期に育んでほしい能力・資質に対しての父親の考え 5)日常の子どもの世話への父親の関与 6)子育てに関しての父親をめぐる教育環境 7)子育てに関して、父親が利用する情報源である。日本については、国立附属幼稚園等の年長児の父親に対し、調査を実施し、現在、その結果を分析中である。 ②に関しては、今年度は、日本の学校教育と地方行政主導の子育て支援に関する資料収集を行った。前者の学校教育としては、家庭科の学習指導要領や教科書の分析を行い、後者については、政令都市、県庁所在地のある市、町、村などの122市町村に対し、乳幼児をもつ家庭一般・特定の家庭を対象とした子育て支援に関するガイドブック等の刊行の有無と内容について調査を実施した。加えて、子育て支援のために実施している企画・教育的講座の実施状況と内容、その中で父親を対象とした支援内容に関して調査した。さらに、ガイドブック等の資料提供依頼も行った。約80%の回収率であった。現在、資料の内容については分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について、①質問紙・インタビュー調査、②教育支援資料収集のそれぞれに関して述べる。 ①については、平成24年度に作成した質問紙調査を中国で実施し、すでに日本で実施した結果と比較分析・考察する。それを基に、インタビューのためのファーカスポイントを抽出し、質問紙調査対象からフォーカスインタビュー対象者を選び、実施する。中国については、海外共同研究者と連携をはかりながら、上海でフォーカスインタビューを行う。 ②については、学校教育における親になるための教育に関する資料、および地方行政の子育て支援に関する資料の分析を行い、考察していく。中国では、ファーカスインタビューの時期にあわせ、子育て支援の企画・運営の実態把握のために現地調査を行う。 国際的な研究交流および成果公表の推進方策としては、平成25年度はOMEP(世界幼児教育機構)の世界大会(2013年7月、上海にて開催)において本研究課題の国際比較のシンポジウムを実施する他、ARAHE(アジア家政学会)の2013年度大会(7月、シンガポールにおいて開催)において成果を公表する。平成26年度は、関連の国内学会での成果公表と、日本における本研究課題のシンポジウムを開催する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用については以下のように計画している。 1)定期的な研究会開催のための会議費および遠隔地の連携研究者の旅費。2)中国での調査実施経費(調査対象者への謝金含む)。3)OMEP(世界幼児教育機構)の世界大会(2013年7月、上海にて開催)参加およびインタビュー調査実施・教育支援に関する実態調査実施のための旅費。4)OMEP(世界幼児教育機構)の世界大会(2013年7月、上海にて開催)でのシンポジウム実施のための関連経費(通訳料など)。5)ARAHE(アジア家政学会)の2013年度大会に参加のための旅費。6)質問紙調査結果分析や資料分析の際の経費(研究補助者への謝金含む)。7) 研究成果公表としての論文投稿のための経費
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Research Products
(9 results)
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[Book] 人と生活2012
Author(s)
片山倫子, 渋川祥子, 工藤由貴子, 田畑泉, 塚原典子, 小川宣子, 池田駿介, 武藤安子, 伊藤葉子, 岡林正和, 天野晴子, 西村隆男, 戒能民江, 西島基弘, 多屋淑子, 都築和代, 沖田冨美子
Total Pages
184
Publisher
建帛社