2013 Fiscal Year Research-status Report
ファザーリングの生活文化的探求からの保育課題に関する実証的研究―中国との比較検討
Project/Area Number |
24500891
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 葉子 千葉大学, 教育学部, 教授 (30282437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐙屋 真理子 (一見 真理子) 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 研究員 (20249907)
岡田 みゆき 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (90325308)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 保育・子育て / ファザーリング / 家庭科教育 / 質問紙調査 |
Research Abstract |
本研究では、ファザーリングから現代の保育課題を構造的に捉えるために、現状と影響要因を生活文化的文脈から探り、教育支援を問い直すことを目的としている。具体的には、より相対化した考察・分析のために中国との比較を行い、質問紙調査・インタビュー調査の実施と教育支援の資料収集を柱として進めている。 前者については、平成24年度は、調査対象者の選定を含む調査の枠組みを設計し、それに基づいて日本・中国で予備調査を行い、質問紙調査内容を決定した。そこで、平成25年度は、東京近郊と上海近郊において、就学前の子どもをもつ父親に対して、質問紙調査を実施した。平成25年7月に開催されたOMEP(世界幼児教育機構)第65回世界大会(上海)において、シンポジウムを開き、これまでの研究成果の公開と各国の関係研究者との意見交換をおこなった。また、やはり、7月に開催されたARAHE(アジア家政学会)2013年度大会(シンガポール)においても成果公表と研究交流をおこなった。 後者の教育支援の資料収集に関しては、平成24年度は、日本の学校教育(中・高・大学)と地域行政主導の子育て中の親への教育支援の実施状況把握を中心に進めた。ただし、後者については回収率が低かったため、平成25年度は、まず、担当者への電話連絡などを行い、122のうち93市町村からの回答(80%弱)を得ることができた。この内容を集約し、日本家政学会へ論文を投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の実施計画における二つの柱(①質問紙・インタビュー調査、②教育支援資料収集)のそれぞれに関する達成度について報告する。 平成25年度は、①の質問紙調査・インタビュー調査実施に関しては、平成24年度に完成させた調査用紙(中国語への翻訳含む)を使って、本調査を実施した。対象は、首都圏(日本は東京近郊、中国は上海)に住む小学校へ進級する前の子どもをもつ父親である。日中とも約100名分のデータが得られ、分析をおこなった。その結果を基に、インタビューのためのファーカスポイントを抽出し、質問紙調査対象からフォーカスインタビュー対象者を選び、日本では東京近郊において、中国では上海において、それぞれ2つの幼稚園の父親たちに対して、インタビュー調査を実施した。現在、両調査の結果・分析の成果をまとめて、論文などで発表予定である。 ②に関しては、日本の学校教育の子育て支援に関する動向として、家庭科の学習指導要領や教科書の変遷・分析を行った。また、地方行政主導の子育て支援に関する資料収集については、平成24年度に引き続き、122市町村に対し、子育て支援に関するガイドブック等の刊行の有無と内容、教育的講座などの実施状況と内容、その中で父親を対象とした支援内容などに関する調査への回答収集に努め、調査の結果・分析の成果を日本家政学会へ論文として投稿し、審査を受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究交流および成果公表の推進方策に関して、以下、①質問紙・インタビュー調査、②教育支援資料収集について述べる。 ①については、平成24・25年度に作成・実施した質問紙調査・インタビュー調査の結果を公開し、意見交換する場を設けるために、国際シンポジウムを企画・実施する(10月11日に予定)。シンポジストとして、中国からの関係研究者、父親の子育てをめぐる課題に関する別の国際比較調査を実施したベネッセからの関係研究者、日本における父親の子育てをサポートしているファザーリングジャパンからの関係研究者が登壇することが決まっている。本研究での成果と、ここでの各シンポジストからの発表、意見交換の内容を集約して冊子として発表する予定である。また、質問紙調査の数値などの詳しい成果は、千葉大学教育学部紀要にて(平成27年3月刊行)公表予定である。 ②については、すでに日本家政学会へ成果の一部を論文として投稿したが、国際的な研究交流のために、平成26年7月に開催予定のIFHE(世界家政学会)のPre-Council Symposium 2014(カナダ)において、研究の成果を公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料を送付するための送料の最終的な金額がわからなかったため、少し残額がでてしまった。 千円以下の残額なので、物品費に繰り入れる
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Research Products
(7 results)