在宅療養・介護における高齢者のＱＯＬを支える在宅ケアモデルの構築に関する研究

2012 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 24500897
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Shimane University
• Principal Investigator: 沖中 由美 島根大学, 医学部, 講師 (50310892)
• Project Period (FY): 2012-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 在宅療養支援 / 高齢者 / 在宅ケア / 在宅介護 / 夫婦 / 老い

Research Abstract

本研究は，平成21～23年度に実施した在宅療養・介護における高齢者夫婦の老いの生き方や信念の統合ケアモデルに基づいたQOL調査を踏まえ，要支援・要介護状態にある独居高齢者の健康関連QOLを明らかにするとともに，在宅療養・介護継続に伴う高齢者夫婦のQOLの変化を明らかにする。平成24年度は，追跡調査として，在宅療養・介護を継続している高齢者夫婦に健康および在宅療養・介護に伴うQOL調査を実施した。
調査は，平成23年2～3月の第1回調査時に継続調査に同意された中国四国地方の高齢夫婦88組に，「療養・介護の意味づけ」「夫婦の関係」「老いの意識」「療養・介護に伴う生活の自己調整」「健康状態」で構成される自己記入式質問票を郵送し，直接研究者に返送してもらった。
その結果，介護者48人（有効回答率54.5％），療養者39人（44.3％）から回答を得た。このうち夫婦ペアは36組（40.9％）であり，妻介護者夫婦23組，夫介護者夫婦13組であった。年齢は介護者79.1±6.4歳，療養者80.8±6.3歳であった。
介護者の経年変化について，身体機能，日常役割機能（身体），活力，日常役割機能（精神）における健康関連QOL得点はいずれも有意に低下していた。また，介護役割意識，セルフマネジメント，老いの肯定的意識，ソーシャルサポートおよび健康状態は，介護継続に伴い有意に低下していた。一方，療養者は，健康関連QOL得点にいずれも有意な変化は見られなかったが，身体機能を除くすべての得点が低下していた。
高齢である介護者は健康レベルが次第に低下するとともに，体調管理や生活調整が十分できにくくなり，療養者もこうした配偶者とともに老いを生きている様相が示された。本結果は高齢夫婦のQOLを支持するケア介入方法を検討する基礎資料として活用できると考える。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度の計画の一つである在宅高齢者に対する質問紙調査については，追跡調査を実施し，分析および結果・考察を進めている。
計画の二つ目である独居高齢者に対する面接調査については，地域性および健康レベルを勘案して対象者を選定する必要があり十分な時間を要したため，面接調査は次年度に実施とする。

Strategy for Future Research Activity

独居高齢者の健康および在宅療養生活に関する面接調査を実施し，分析モデルを検討したうえで質問紙調査票を作成する。
１．居宅介護支援事業所や地域包括支援センター等を利用し，要支援・要介護認定を受けている独居高齢者を対象に，健康と在宅療養生活に関する面接調査を実施する。
２．面接調査の結果を分析し，身体的，心理社会的な既存尺度を含めて質問紙調査内容を検討しする。
３．アンケート調査および数量的分析の専門家から助言をうけながらプレテストを施行し，調査票を作成する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

１．未使用額が生じた状況
平成24年度に実施予定だった独居高齢者に対する面接調査について，様々な健康レベルにある独居高齢者の状況を地域性を踏まえて把握し，そのうえで面接調査の対象者を選定する必要があった。そのため居宅介護支援事業所や訪問看護事業所等のケアスタッフに独居高齢者の状況について情報収集を行ったが，面接の実施までに至らず，面接調査にかかる費用が次年度に繰り越しとなった。
２．平成25年度使用計画について
１）面接調査を実施する。
２）面接調査の結果を分析し，その結果を踏まえて調査票を作成する。