2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500900
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
赤星 礼子 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70132488)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 島の高齢者 / 生活の持続可能性 / 離島の生活 / 高齢期の生活支援 |
Research Abstract |
前回(平成21年度~23年度)は、離島に生活する高齢者の生活支援ネットワーク形成のための提言をすることを研究目的として、調査研究を進めてきた。一定の研究成果を得たが、平成23年度から、調査対象地とする各島に大きな動き(変化)がみられるようになった。そこで、今回(平成24年度~26年度)も、継続して調査研究をすることとした。したがって、本年も2回の3島調査を実施し、また、同じ炭鉱閉山の島である西海市の大島、松島へも現地調査に出かけた。 まず、長崎市のA島(高島)では、高齢化率が実質60%と言われるように高齢化が進んだ。その結果、高齢者同士の共助意識が高まってきている。10年前には拒否された、黄色い旗運動を行政センターが呼びかけたところ、瞬く間に各戸に掲げられるようになった。また、公設市場の空スペースに「いきいきサロン」が作られ、これまた、高齢者が集うようになった。行政の果たす役割が大きいと言えるが、A島の高齢者の意識にも変化があると思われる。足掛け6年にもなり、漸く島の高齢者と打ち解けて話せる人が現れた。本当に島での高齢期の生活が「持続可能か」どうか、検証していく。また、同じ長崎市のB島(伊王島)では、対岸との間に架橋が完成し、島の生活に少なからず影響を及ぼしている。さらに、C島(池島)に至っては、旧鉱業所の系列会社が突然撤退し、60数名の被雇用者の大部分が島外に出た。高齢化率30%であったが、一挙に限界集落となった。平成25年の今年が、C島の高齢者の生活の仕方の方向性を決めるのではないか考え、注目している。このように本研究は、時機に恵まれたというべきで、今回の研究期間内において、多くの知見が得られると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、前回(平成21年度~23年度)と同様に、2名の連携研究者と5名の研究協力者との共同研究という形で調査研究を進めている。本年度は、調査対象地の3島に2回実地調査を行った。各々7名の参加である。「地理・交通」「人口・家族」「消費・住居」「医療・福祉」という枠組みに、1~2名が担当として張り付いている。 前年度の調査研究の成果は、日本家政学会(大阪、2012)のポスター発表をすることで確認している。本年度の研究成果についても、2013年5月(東京)において発表することになっている。また、日本家政学会九州支部会(熊本、2012年10月)においても、「消費生活」に関して口頭発表を行った。本年度は(大分、2013)、「人口・家族」の領域で口頭発表をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度からは、本調査研究のまとめに入る。当初の計画の通りに、出版の形にする。したがって、執筆に入るために分析方法の再検討をして、つぎに構成(章立て)を詰めることにしている。共同研究者と研究会をもつ。 しかし、前述のように調査研究の対象地である3島の生活環境の変化は激しいので、現地調査もこれまで同様に行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度(2013)は、共同研究者との研究会(勉強会、編集会議)をもつ必要がある。その会合費(集まりやすい福岡を会場にする)と、旅費(宮崎、熊本、大分から) に使うことになる。 また、本研究の独自性は、現地調査を行うことにあり、そこから得られた知見を重視していることから、研究期間中はできるだけ現地調査に行きたいと思う。調査地は長崎市の「島」である。その旅費として使いたい。
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Research Products
(3 results)