2013 Fiscal Year Research-status Report
介護家族と介護職における主観的ウェルビーイングの向上をめざす心理介入的アプローチ
Project/Area Number |
24500904
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
風間 雅江 北翔大学, 人間福祉学部, 教授 (60337095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 美幸 北翔大学, 人間福祉学部, 准教授 (30295943)
八巻 貴穂 北翔大学, 人間福祉学部, 講師 (30364293)
本間 真理 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90423780)
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Keywords | ウェルビーイング / 介護 / 幸福感 / 心理学的アプローチ / 高次脳機能障害 |
Research Abstract |
介護職の主観的ウェルビーイングを把握するために、前年度まで検討してきた施設介護職に加え、今年度は、訪問介護員200名を対象に質問紙調査を実施した。入所系サービスにあたる介護福祉専門職についての過年度データと、今年度の訪問介護員対象の調査データを分析比較し、異なる介護職間の共通点と相違点について検討した。主観的ウェルビーイング、精神的回復力、個人志向性、社会志向性、バーンアウトを心理変数とし、年齢、性別、勤務年数、年収等を属性データとして統計分析を行った結果、訪問介護員の方が施設介護職よりも、主観的ウェルビーイング、精神的回復力、個人志向性、社会志向性が高く、属性については、年齢が高く、年収が低く、女性が多かった。施設介護職と訪問介護員の両方において、精神的回復力と個人志向性が、主観的ウェルビーイングに正の影響を及ぼし、バーンアウトが負の影響を及ぼすことが明らかになった。施設介護職について、男女の性差による検討を行った結果、男女共に個人志向性が主観的ウェルビーイングに正の影響を、バーンアウトが負の影響を及ぼし、女性でのみ、精神的回復力が正の影響を及ぼしていた。以上より、介護職への心理介入的アプローチを考える際には、職務の性質の違いや男女差を考慮する必要があると思われた。 介護家族と要支援者の主観的ウェルビーイングについては、高次脳機能障害患者会に継続的に参加し、支援活動にあたりながら実践研究を行った。患者会におけるコミュニケーションの分析による検討、および、システム論的観点から患者会が成員の主観的ウェルビーイングに及ぼす影響について検討を行った。心理介入的アプローチについては、上記で得た知見に基づき、個人志向性を尊重しつつ精神的回復力を高め、バーンアウトを予防することを重視し、マインドフルネスストレス低減法やブリーフリラクセーション、ソーシャル・サポートの効用を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
介護職の主観的ウェルビーイングを施設介護職と訪問介護員とで定量的に分析し比較検討することにより心理介入的アプローチを考えるうえで有効な知見が得られたが、介護家族については実践研究を継続的に実施し患者会の機能を検討したものの、定量的分析検討ができなかった。また、当初の計画にあった、地域間での比較検討を実施することができなかった。 質問紙調査に基づき、有効な心理介入的アプローチを考案するための示唆を得ることができたが、具体的な試案を作成するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本務校の学務増により、全国にわたるフィールド調査の実施は困難となる可能性が高い。北海道内の都市部と地方の人口減少地域とで、環境要因に違いがあり、介護にかかわる認識にも影響を及ぼす可能性があるため、北海道内の地域間の違いを検討することにする。 介護者の主観的ウェルビーイングの向上をめざす心理介入的アプローチの具体的方法を考案するにあたって、これまでの調査研究で得たデータの未分析の属性変数や自由記述についても詳細な分析を重ね、その結果を心理介入的アプローチの試案作成に反映させていく。 介護者が自宅や職場で手軽に実施できる心理介入的アプローチの手法として、マインドフルネスストレス低減法やブリーフリラクセーション等をわかりやすい説明し、具体的方法を掲載した、コンパクトなリーフレットあるいは手帳等のツールの開発を検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた全国規模のフィールドワーク研究を実施することができなかったため、旅費および人件費等において大幅な執行減額となった。 これまで得た知見を次年度以降の国際学会で発表する準備を行い、海外での研究発表旅費等に充てる予定である。
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